久里浜だより26

■夕方から雨が降りだしました。沖縄は20日に梅雨が明けたそうですね。久里浜は暑かったり肌寒かったりで、風邪気味の人もいます。みなさん、体調はいかがですか?
■今週もあと1日で終わりです。明日の研究協議の原稿書きと検討をしたり文集の仕事をしたりと、あっという間の1週間でした。今夜、レポートの原稿を書いたらこの土日はちょっとゆっくりできそうです。
■今日の午前中は東京都立七生養護学校教諭、石丸良成先生の『演習:図工・美術の指導』でした。「自由な表現活動は心の解放につながる」「感覚的なものを全部出して表現に結びつける」と、結果として作品はできるが、そのプロセスを大事にした表現活動について実践紹介をされました。
■ビデオで実際の美術の時間のようす、そして子どもたちの作品を見ることができました。子どもたちは自分の活動に集中していました。「障害が重い子の方がつくるものがおもしろい」…たしかにそう感じました。「型にはまっていないから」…たしかにそうでした。現代美術に通じるところがあるということで、現代作家の作品も見せてもらいました。大きな大きなカンバスに絵の具をバケツでぶちまけたポロックの絵、足で描いた白髪一雄の絵、ベニヤ板をくりぬいて組み合わせた斎藤義重の作品…「ほとんど障害児美術」というコメントに笑い声、それが何百万もすると聞いて「おーっ!」と驚きの声です。
■久里浜に来て小串里子先生と出会い、軽井沢で美術館に行ったりして、それでなくとも街には絵などがたくさん飾ってあり、むしろ街そのもの、人の動きやスタイルそのものがアートに思えてきているこの頃です。石丸先生のビデオにも音作りや体の動きの表現活動がありました。今研究協議でまとめようとしている表現活動は同じ方向性をもっています。
■後半はスチレン版画の演習です。私は久しぶりの「美術」でなんだか緊張してしまいました。初めての素材なのでどうするとどうなるのか、という見通しがもてなかったからでしょうか。素材を楽しむなんて余裕はありませんでしたが、そうして新しい素材にドキドキすることが素材を楽しんだことなのかも知れません。どうにかできて、69人の研修員の作品、A5くらいの小さな作品ですが、みんなの版画を正面のホワイトボードに貼ったらこれがなんと、とてもすてきでした。
■生活単元学習や作業学習に力を入れている養護学校の日課表には、教科としての美術がない学校があることがわかってきました。逆に、日課表は音楽・美術・体育ばかり、という学校もあるのです。同じ知的障害の養護学校なら私は美術がほしいと思っています。技法を追うばかり、作品の出来栄えを追うばかりでない表現の時間の確保として。音楽も体育もそうです。
■それにしても石丸先生の頭はずいぶん柔軟だと思いました。美術も音楽も体の動きも、みんなアートとして取り込んでしまう。子どもたち一人一人の今の幅を広げる活動としの表現を追求されています。理論もきちんとまとめてみえます。
■午後は安田生命社会事業団子ども療育相談センターの主任相談員、新井利明先生の『社会性の発達と障害』でした。レジメがあまりに細かくていねいにもれなく作っていただいてあったのでノートは少し取っただけでした。何を社会性としてそれがどう身に付くのか、考えてしまいました。

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