月別アーカイブ: 2002年4月

GWのテレビ番組

■GWはテレビ番組も毎年いいものがあるので、ビデオテープとテレビ番組雑誌を買って備えました。
■「NYテロとアフガニスタン」(NHK-BS1・4/27)戦争とテロを撮り続けているフォトグラファー、ナクトウェルのドキュメントです。見ていると、ああ、これも彼が撮ったのか、と思うのです。1枚の写真にそれだけ力があります。文字通りみる人の目に焼きつくのです。番組をみていると、彼は戦争やテロの最前線にいても瞬時に象徴的な構図を作ってしまいます。ネガをみると1シーンに数ショット撮っています。ほとんど同じショットです。その1枚は、でも、その1枚に至るまでの彼の文脈、哲学と感性、そして技術が凝縮されています。この番組はたしか再々放送です。
■「未来への教室・ディック・ブルーナ①幸せを運ぶ絵本の秘密」(NHK-ETV・4/27)*見ているだけで豊かな気持ちになれる、そんな番組でした。毎日自転車で仕事場に向かうブルーナ、オランダの落ち着いた街並み、カフェの猫、広い仕事場の白い壁…ミッフィーの誕生にはそうした文脈があるわけですね。マティスから学んだ色の感覚、基本8色、ミッフィーの形、子どもたちへの話、どれもがたいへん興味深い番組でした。続編は5/4の放送予定となっています。
■「NHKスペシャル・イギリス授業崩壊からの脱出・シャロン校長の学校改革」(NHK-TV・4/27)*制度はちがっても教育現場の営みはどこも同じだとはじめに感じました。成果重視の制度となって現場の意思決定に任されている部分がとても大きくて、それは日本と大きくちがうところです。そして、小学校でも子どもひとりひとりのニーズに合わせて進度や指導方法がちがっています。同じ教育内容を同じように受けるのがいちばんというこれまでの考え方は果たして「平等」という言葉で済ませてよいものなのか、吟味する必要があるように思います。
■「NHKスペシャル・奇跡の詩人11歳脳障害児のメッセージ」(NHK-TV・4/28)*脳障害の子どもがお母さんの介助で文字盤を使って話をするドキュメンタリーです。話は日常会話だけでなく、詩を書き、今本も書いています。会話はウィットに富み、詩は心の琴線に触れるばかりでなく世界中の人々への普遍的なメッセージを含んでいます。彼はドーマン法による療育を続け、1日はリハビリのプログラムでそれこそ分刻みのスケジュールです。彼は養護学校に在籍していますが登校はしていません。訪問教育という話もなかったと思います。両親は知的な面の発達にと、実に様々な言葉や画像をカードにして彼に見せ続けました。番組では「奇跡」という言葉が使われていました。あれは「奇跡」なのだろうか…

スケールとコード

■4月から勤務先の県立校が完全週5日制となりました。やった!“仕事”ができる!そう思ってしまいました。ウィークデーはそれこそ目の前の“仕事”に追われてまとまった“仕事”や自分の勉強をする時間がありません。本を読む時間すらないのです。先日、“仕事”の本をまとめて買ったのに必要なところをやっと参照するだけ…。土日の“仕事”は“duty”ではなく“work”ですね。どこかで“lifework”につながっているといいのだけど、どうだろう…
■この前の日曜日の朝、何気なくテレビのスイッチを入れたら『週刊ブック・レビュー』(NHK-BS)が始まるところでした。逢坂剛おすすめの1冊はラッセル・マーティンの『ベートーベンの遺髪』です。ベートーベンの遺髪の行方を追うことが歴史の頁を追うことになるという構成は想像に難くない。遺髪の行き着く先はもちろんDNA鑑定である。ストーリーはおもしろいだろう。でも、逢坂剛の語り口は知的好奇心がそのまま喋っているようで、私にはその方が気になりました。続く岸本葉子の語り口もしばし聴き入ってしまいました。そんな非日常的な空間にしばらく縁がないんだよな。そうそう、『ベートーベンの遺髪』の著者ラッセル・マーティンは『自閉症児イアンの物語』も書いています。
■少し前にディズニー映画『モンスター・インク』をみました。全編CGの画面に圧倒されていましたが、ふと気づくと音楽が不思議なメロディーを奏でていて途中から音楽ばかりきいていました。ピアノとオーケストラ、そして50年代のビッグバンドを思わせるなつかしい音です。でもピアノのソロで始まるスローテンポの冒頭がちょっとおもしろい。単音のメロディーがほんのひととき不思議な響きを作ります。響きといってもコードではありません。ジャズではモードといわれるスケール(音階)のちがいですね。
■スケールをピアノで弾こうとするとなぜかわかりにくかったのですが、ギターだとわからないなりにもどこかしら腑に落ちるものがあります。そして、ロックもクラシック音楽のスケールというパラダイス(枠組み)に組み込まれているのですね。スケールで奏でられるメロディーは図らずもコードを作り、聴く人を一気に引っ張り込むというわけ。またまたおもしろい!