月別アーカイブ: 2010年12月

緩和ケア病棟のクリスマス会

緩和ケア病棟のクリスマス会に同席する機会がありました。かつてはリハビリ用のプールだったというホールは天井まで続くガラスブロックを通して差し込む冬の日差しがやわらかく包み込んでいました。
患者さんは車いすやベッドで参加という方も多い中、自らサックスを演奏する方がみえました。「サプライズ!」です。3か月ぶりというアルトサックスはキーの動きがぎこちなくて、12月生まれの患者さんに贈る「A Whole New World」は途中からキーがずれてしまいましたが、キーを調整した後の「いい日旅立ち」と「Fly Me To The Moon」はプロの演奏の醍醐味たっぷりで素晴らしいものでした。緩和ケアにサックスを持って入院して、今日だけでなく病棟で演奏を続ける彼の姿に音楽が持つ力の大きさと深さをあらためて考えてしまいました。細い体で奏でる音楽のなんと力強いものだったことか。
病棟の廊下を帰るとき、開き放たれた部屋からバッハの「ゴールドベルク変奏曲」のピアノが聞こえてきました。CDなどを持ち込んでこうして毎日聴いているのでしょうか。私は緩和ケアで音楽療法を行うほどの実力も心の準備もなく、ただただ命の尊厳を思うばかりです。
そもそも緩和ケアでの音楽療法はどうあるものなのでしょうか。音楽は素晴らしいが決してオールマイティではないと考えます。音楽療法士は少なくともこのことを肝に銘じつつ、音楽に関するあらゆるアプローチを習得して臨床に臨むことが必須だ。いや、人と音楽への謙虚なスタンスがあって初めてセッションのスタートに着けるものではないのか。音楽を臨床の場で奏でる者は自分の音楽を押し付けるようなことがあってはならない。選ばれてこその領域であろう。
メリカントのピアノ音楽の楽譜が届きました。北欧、メリカントの音楽の透明感が今は身近に感じます。

12月の日曜日のポコ・ア・ポコ

12月の日曜日のポコ・ア・ポコは 家族のみなさまに来ていただきました。今日も1歳半から16歳という幅広い年齢のお子さんでしたがいっしょに楽しめるところがミュージック・ケアの懐の深さです。今日は高校生も参加して「最近こんなに笑ったことがなかった」との感想をいただきました。いえいえ、あなたがそうして心を開いて楽しんでくれたからこそ今日のセッションがより密度の高いものになったのです。新しい年がよい年でありますようにとシャボン玉をプレゼントして終わりました。来年もよろしくお願いいたしますm(-_-)m
昨日は自宅の光回線の工事が終わって今日はLANの設定をしました。無線ルータは8年前に設置、「子機」は買い足してきた機材が混在していることから暗号化キーが何種類かあって、その見分け方がわからなかったのでなかなか難儀な設定となりました。わかってしまえばなんということもないので終わってから徒労感がどっと襲ってきました。無線ルータはNECのAterm WR8700N(HPモデル)で、光回線と相俟って文字通りの超速です。iOS4.2のダウンロードはiPadのとき9時間もかかったのがiPhoneではわずか50秒でした。容量は400MB余りです。何種類もの「子機」を接続しても難なく高速で通信する無線ルータは隔世の観があります。TVも接続可。一度知ってしまうと後戻りはできない。

ATACカンファレンス2010京都

昨日からATACカンファレンス2010京都に行っていました。昨日は朝早く発ちましたが京都で用事を済ませて会場の国立国際会館に着いたのは3時を回っていました。セミナーはやっとひとつ出ただけでしたが、音声読み上げソフト「DAISY」の概要について知ることができ、また、Windowsの音声エンジンのデータを分けてもらうことができました。今日は「アルテク」(身近にあるテクノロジー)を活用した支援、シンボルを使った特別支援教育、iPhone・iPadアプリ作成などのセミナーとポスター発表のブースで密度の高い情報を得ることができました。
iPhoneとiPadはパソコン同様、ATACではすでに市民権を得ているように思いました。iOSのアプリは開発ツールをオープンにしていることやその直感的な操作も相俟って支援機器としてソフト面が充実してきています。iPhone・iPadには「これなら何かできそう」というメッセージを超えたアフォーダンスを感じます。1年後にはAndroidは多数派になっているだろうとしながらも総合的にどうかというところが支援の業界では支持されるという文脈の話があって共感するところでした。
iPhone・iPadアプリ作成は東京大学先端科学技術研究センターの大学院の授業3時間分を50分に凝縮したもので、飛び石のようにたどりながらもアプリ開発のプロセスのフローがよくわかりました。私は日常的にMacを使っているということで実機も操作することができて勉強になりました。
iPhone・iPadアプリの開発で興味深いエピソードを聞きました。アプリの開発は当事者たちといっしょに生活した中でないといいものはできないということです。この前段には開発には当事者を入れないという意外な話があったのです。別のセミナーでは、アプリは「そぎ落とすものが無くなった時が完成の時」ともありました。この言葉はサン・テグジュベリが『星の王子様』を書き終えたときのものとのこと。「機能が限られたアプリの使いやすさ」とも。「アルテクを活用した就労・就学支援に必要な3つの観点、テクノロジーによるエンパワメント、環境調整による困難の解消、コミュニケーションによる多様性理解、3つが揃って初めて継続的に合理的配慮が得られるようになる」(岡)との言葉に納得です。ツールはシンプルな方がよく、生活のストーリーの中で使いこなし甲斐があるというものです。
信州特別支援教育情報誌「slide」のスタッフは長野県の特別支援学校の教員たちで、「シンボルを使った教育の頂点見せます」というセッションは実に楽しく、充実した内容で頼もしく思いました。iPhoneアプリの「DropTalk」は彼らドロップレット・プロジェクトの作品です。このセッションで初めて知ったのですが、信州大学教育学部の「Picot on Web」というコミュニケーション・ツールはドロップの前身とのことで驚きました。「Picot」は私が養護学校(当時)で担任をしていた頃のツールのひとつでした。「Picot」のさらに前身は1993年のコミュニケーション・シンボルとのことですからかれこれ20年近くもの開発の歴史があるといっていいでしょう。だからこそドロップが生まれ得たと思います。彼らのセンスとユーモア溢れるセミナーは特別支援学校の教育力の底力があってこそのもの。実に心強く思いました。
ATACカンファレンスは参加者が以前ほど多くはなく、支援機器の展示も少なくてさみしい一面もありましたが、参加者の意識がたいへん高いことは肌で感じるほどでした。身銭を切ってしか得られないものは必ずある。

「三重子どもの心ネットワーク」第1回会議

この木曜日は「三重子どもの心ネットワーク」(Mie Child Mental Health Network)の第1回会議に行って来ました。「会議」なのに「行って来た」とは130人もの参加があってもはや会議とはよべないほどのスケールだったからですが、この「会議」の意図するところは英語のconferenceですね。当日は「問題行動が起きたときの相談窓口とその連携」と「思春期児童生徒の問題行動への取り組みの現状と課題」の2部構成で、亀山市子ども総合センター、三重県教育委員会生徒指導・健康教育室、三重県警少年サポートセンター等々からの報告はこれまでにないコンビネーションでした。今の子どもたちが置かれている状況が浮き彫りにされました。発起人は児童精神科のドクターたちで、これまでにないアクションだと思っています。子どもたちを救うための新たなフレームワークが立ち上がろうとしているように思います。そして、この会議に参加した人が130人もいたことを少なからず心強く思うのです。子どものメンタルヘルスは国家的課題ですが、そもそも子どものメンタルヘルスは個別の課題ではない。この日、特別支援教育のフレームが表立ってなかったことについては、特別支援教育はあらゆる場で誰もが配慮すべきものであるという特別支援教育本来の趣旨からするとむしろ望ましいものと捉え、これからの推移を見守りつつ意見して参画していきたいと考えるところです。
未明に目が覚めてそうだと思って探したもの、それはiPad用のテキストエディタでした。EvernoteのiPad版がテキストの「追記」しかできなくなっていて私の使い方に合わなくなったこと、そして、iOS4との相性がよくないのか上下のバーを除いてまっ暗になって、つまり、フリーズしてアンインストールと再インストールを繰り返すというトラブルに見舞われているからです。フリーズはそのうち解決されることと思いますが、シンプルに書く機能を追求したアプリが便利だと気づいた次第です。ネットで調べると同じようなことを考えている人が少なくないようでiPad用のテキストエディタはとりわけこだわりものがいくつかありました。しばらく幾思案となりますが、iPadは日々実用度を高めてきています。
新しい無線LANルータの発送メールが届きました。光回線への切り替え前にセットアップしようと考えています。光回線になると「超速」になるのかな? ここまでの経緯で???だったのは、自宅区域が光回線に切り替えられた頃からADSLの速度が実用にならないほどに低下したことです。これが戦略だったらいかがなものか。ベストエフォートは結果でありスケープゴートにされるものではない。