日別アーカイブ: 2000-06-30

久里浜だより29

■レポートの印刷もあと表紙を残すだけ、座学も今日で終わるなど、ある程度メドがついてきたはずなのにチマチマと忙しいことに変わりはないという毎日です。そういえば今週は文集作りもけっこういろいろありました。文集のカラーページは保存性を考えてカラーコピーにしたので、コンビニで延々とコピーして帰ったら午前様という日もありました。でもみんなとワイワイとやってるのは楽しいものです。あと、近くのロシア料理店「火の鳥」にも行きました。ものすごい風の中、野比の海岸沿いの道を歩いて行ったら、潮風で顔もメガネもみーんな塩辛くなってしまいました。
■28日は研究協議と体育・健康でした。体育・健康はレポートの最終チェックと印刷に使ってしまって、嵐のような天気ということもあってジョギングはしませんでした。
■29日は、昨年まで千葉大学附属養護学校教諭だった水戸正衛先生の『遊びの指導』と東京都立保健科学大学助教授の野村みどり先生の『バリアフリー生活環境論』でした。
■『バリアフリー生活環境論』では欧米のようすを100枚以上のスライドで見せてもらって、これはカルチャーショックでした。
■個人主義の社会で障害のある人たちが生き抜くためにはそれなりのスキルが必要で、「自己主張訓練」というプログラムがあると先週の講義で聞きました。でも、今日は、誰かが「これをしたい」と表明したらそれをどうかして実現できるようにしようという支援が「システムとして」素早く組まれるように感じました。事実そうなのでしょう。
■アメリカ、カルフォルニアのバークレーの大学で学ぶ日本人の話です。彼は電動車いすを使っています。手にも障害があります。「日本には戻りたくない。日本では私は不具者だ。」野村先生にそう言ったとのこと。日本ではどこの大学にも受け入れてもらえなかったとか。これは一つのエピソードです。すべてではありません。でも、彼が20年生きてきてそう感じたことは事実として受け止めなくてはならないと思います。
■プレイセラピーの紹介もありました。1977年、スエーデンでプレイセラピーが制度化され、病院はプレイセラピーの提供が義務となりました。プレイセラピー科です。病院の待合室もおもちゃや大型の遊具があります。そして子どもへのインフォームド・コンセントも行われて、子どもが治療の意味を彼らなりに理解すると大人よりも辛抱強いことがわかっているとのこと。野村先生が脚本を担当された映画のビデオを注文したのでぜひ見てください。(少子化と医学の発達で病院に入院する子どもが減ってきている中、各地で子どものための病棟の閉鎖が聞かれるのはどこの国か! 土野先生の病弱の養護学校のとなりの子ども病棟も今年度いっぱいで閉鎖されるかも知れないとのことです。)
■そうして子どもたちが大切にされるのと同時に、職員の健康も同じくらい大切に考えられています。子どものいすと机は台に乗ったりして高くなっています。先生が中腰や前かがみにならなくてもいいようになっているわけです。天井のリフターのレールもそうです。
■スライドを見ているうちに、画面の中になんとなくのんびりした印象をもちました。時間の流れがちがうように思えてきました。たぶん私は貧乏性でゆとりがなくなっているのでしょう。早く職場に戻って子どもたちと過ごしたいと思っています。講義も演習を2つを残すだけとなりました。
■「ゆとり」でふと気づきました。小出進先生を頂点する「生活を中心とした教育」は一体なんなのだろう。千葉大学附属養護学校小学部の「遊びの指導」はわかる部分が多い。中学部の生単も。でも中学部と高等部の作業ばかりの、作業ばかりではないというが、あのがむしゃらな毎日は一体何? この目で確かめてみたい気もします。
■今日は、愛知県立一宮東養護学校教諭の堺和之先生の『算数・数学の指導』と埼玉大学附属養護学校副校長の桜井康博先生の『国語の指導』でした。「生きる力」がキーワードでした。
■さて、明日からは最後の土日です。本屋めぐりをして仕事の本を買い集めてきます。手に入りにくい本は直接出版社に行って見せてもらえるように電話して頼みました。めいわくな客です。