月別アーカイブ: 2004年4月

新緑と間主観性

■先日、車のエンジンオイルを交換しました。音も振動も小さくなってスムーズです。里山の通勤ドライブが快適です。昨日の朝は春の嵐が去って空気が澄んで新緑が朝陽に輝いていました。こんな感じ方を誰かと共有したいと思うこと、それが間主観性。その「誰か」がいちばん近い大切な人ですね!

青い麦たち!

■ギターでクラシック!と思ってもそれは私にとってとんでもなくむずかしいことです。でも、口ずさむのはクラシック、ということが多い。勤務先の養護学校で子どもといるとき口ずさむ曲は、ゴセックの「ガボット」、バッハの「平均律第1巻」より「プレリュード」のメロディーライン、パッヘルベルの「カノン」のコードをギターで弾きながら口ずさむ思いつきのメロディー、などです。ポップスではなぜか「アマ・ポーラ」が定番です。もちろん自分の好みを子どもに押し付けないように気をつけています。子どもがうれしそうにしてくれたらいっしょに楽しむのです。関係性はそうしてふたりで作っていくものと考えています。
■昨夜、布袋寅泰のギターを「ミュージックステーション」で聴きました。ソリッドの魅力たっぷりで惚れ込んでしまいそうです。すごい! 私の中ではクラシックもロックもない。好きなものは好きとしか言いようがありません。今日は鈴鹿のベルシティの島村楽器でアイバニーズのJ-CUSTUMのスルーネックを見つけて目が釘付けになりました。あるところにはあるものだ!
■今日はSAS鈴鹿自閉症勉強会の勉強会に参加させていただきました。ノブくんのお母さん、丸岡延子さんの講演です。テーマは「『楽しみな将来』のための暮らしづくり~丸岡家の場合~」で、内容は「①10年後を見つめた、今日の一歩②サポートブックを作ろう!」です。ノブくんと坂井聡先生との出会いは養護学校高等部です。そこから「使える」コミュニケーションの学習が始まりました。スケジュールの自己管理やシンボルによるコミュニケーションです。すばらしい! でも、それにつながるそれまでの何かがあるはずだと、そのことを質問しました。「約束は必ず守った。」「これから何をするかを必ず伝えた。」というご自身のパーソナリティはノブくんのサポーターの必須条件ですが、スイミングや体操、くもん、認知学習など、毎日のように通われて、それぞれに「今」につながるものがあったとのことです。「本人がいやがらないのなら何をしてもいいのでは!」という一言は納得です。そして、「くもんもいいけど先生によります!」にも納得です。
■鈴鹿からの帰り、夕日なのに青々とした麦たちがとてもたくましく美しく見えました。金色の麦秋まであと2か月です。今、テレビで「冬のソナタ」を放送中です。映像と音楽がきれいです。

TEACCHビジュアル図鑑

■『TEACCHビジュアル図鑑・自閉症児のための絵で見る構造化』(佐々木正美 学研 2004)という胸のすくような本があります。全編イラストで一目瞭然、佐々木正美先生のテキストも明快で、自閉症スペクトラム障害の子どもたちのサポートをめぐる緒論に新たなベクトルを提案しています。常々疑問に思うのは、学校教育の現場でどうしてTEACCHプログラムをもっと取り入れないのかということです。TEACCHがその緒論に入っていない現状そのものが疑問です。そして、TEACCHは発達障害がある子どもたちのためだけの理念ではないということをわかってほしい。程度の差こそあれ、私たちはTEACCHの理念に支えられて日々の営みがあるということだ。
■ポコ・ア・ポコ音楽療法の会の活動に金銭的な助成をという申し出をいただいています。音楽療法は楽器や機材に多額の投資が必要です。これまで借用していた楽器や新たなアイテムを購入することができますのでたいへんありがたく、感謝の気持ちでいっぱいです。

自分って、なーに?

■4月の日曜日のポコ・ア・ポコがありました。16家族のみなさまに来ていただきました。人数のわりにこじんまりとした空間で、ひとりひとりのお子さんとの距離も短く感じられました。カップにゴセックの「ガボット」を使って、中間部にお茶のお手前の動作を入れてみました。子どもたちの注視はいつになくしっかり感じました。すごいと思いました。物語ることの力、ストーリーとしての音楽療法の場の在り方を考えてしまいました。
■次回5月で日曜日のポコ・ア・ポコは1周年を迎えます。今日は開けた窓から気持ちのいい風が入ってきました。そんな頃に始めた日曜日のポコ・ア・ポコだったと、まだ1年ということが信じられないくらいたくさんのことがありました。お子さんを参加させてくださる保護者のみなさま、スタッフのみなさまに深く感謝しています。
■子どもたちの服は初夏のカラーでした。髪を切ってさっぱりとした子もいました。それだけでなく、身のこなしや私との言葉のやりとりなどが目的的になっていたりと成長を感じました。見かけ上の「できる」「できない」ではありません。1月でこんなに印象が変わるのは春だけのように思います。暖かい時は子どもの成長も大きい!?
■今日は風がすごく心地よかったです。シャボン玉もちょっと風に吹かれて上へと上がっていきました。セッション前には何回しても作れなかった大きなシャボン玉がセッションではできて、その大きなシャボン玉が上へと上がって、そして、はじけて消えて、みなさんからため息がこぼれました。
■記録用のビデオカメラのモニタをレンズと同じ方向にして後片付けまで残っていたふたりの子どもに見せました。ふたりとも自分が映るモニタをじっと見つめて微笑んでいました。自分がリアルタイムで見えることのおもしろさと意味をあらためて実感しました。自分って、なーに? これは発達の課題であり、哲学です。

直線は真っ直ぐに!

■校舎の壁の隙間に根を下ろした百合です。花は枯れてドライフラワーです。根元からは新しい葉が力強く、でも、さりげなく、こんなに青々と芽吹いています。この写真は三脚も水平器も使わなかったし試しのレタッチなので納得の作品ではありませんが、いちばん気になっているのは校舎の横のラインです。直線ではない。樽型の歪曲が出ています。レンズはEF20~35mmF3.5~4.5です。ズームレンズの限界を感じるのはこんなときです。デジタルなので歪曲を修正するソフトを使えばそれはそれでいいのですが気持ちよくありません。写真は撮りたいと思ったときのイメージ通り写ってほしいものです。単焦点レンズで撮り直しです。ファインダーを覗いてこの歪曲に気づかなかった自分の目も情けない!

新学期!

■月曜日は勤務先の養護学校の入学式でした。教育相談係として入学前から子どもたちとかかわってきた私としては入学式も感慨深いものがあります。6歳のお子さんをスクールバスに乗せて学校に通わせていただく保護者のみなさんの心の内を思うと感謝の気持ちでいっぱいです。
■医療的ケアの研修がありました。痰の吸引の個別研修です。ドクターから手技について直接レクチャーを受ける貴重な研修です。子どもたちの命に直結する研修なのでいつしか汗だくです。ドクターの呼吸介助に合わせて大きく息をする子どもの姿に生命の営みそのものを目の当たりにする想いがしました。呼吸介助も大切なコミュニケーションです。昨年夏に亡くなったお子さんを小学部1年生のとき担当して、私はいっしょに過ごす時間の中でほんとにたくさんのことを教えてもらいました。子どもたちは先生の先生です。
■ドラマ「光とともに」が始まりましたね。勤務先の養護学校で昼休みに子どもとギターで30分くらい遊びました。ギターをケースから出すとすっと寄ってくれて、いっしょにコードを弾きながら私は静かに歌いました。遊び、といっても私が音楽を使うと療法的な空間です。音楽の力を実感するひとときでした。
■これから若葉の季節ですね。近くの運動公園のもみじ峠の若葉は格別です。

『光とともに』

■春休みから仕事で一太郎を使っています。ワード使いの私にはこれがなかなかなじめません。書きながら考える私はとくに表の融通がきかないことに参っています。マニュアルを読んでもわからない。引き継いだファイルは余計にわかりません。仕事の効率は極めて低い! 一太郎のファイルはワードで開くことができるし、また、ワードのファイルは一太郎でも開くことができる。それでもどこまできちんと開けることができるのかわからないので結局使い分けることになる。このLavieには一太郎が入ってないので勤務先のパソコンでしか仕事ができない。つまり、持ち帰れない。いや、持ち帰らなくてもいいようにしよう。すると結局休憩時間に仕事をすることになる。ワードも一太郎もプレインストールされたパソコンを与えておきながらどうして一太郎のファイルと指定されるのだろう!?
■昨夜から今朝にかけてこのLavieに何かあったようで、HomePageBuilderのFTPデータ(アップロード設定)が全てなくなってしまいました。 ひとつひとつ設定し直す羽目になりました。最後に頼りになるのはやっぱりメモ、ハードコピーです。
■古本屋で1時間余り丹念に背表紙を見ていました。今日買ったのはテンプル・グランディン著『自閉症の才能開発Thinking in Pictures~自閉症と天才をつなぐ環~』(学習研究社1997)と春山茂雄著『脳内革命~脳から出るホルモンが生き方を変える~』(サンマーク出版1995)です。あと、遺伝子の本も興味津々でした。自閉症スペクトラム障害の人たちのものの感じ方はご本人たちに聞くのがいちばんです。そして、すべては脳にありと、今のところそう考えています。
■コンビニに戸部けいこ著『光とともに』(秋田書店)がおいてあってびっくりしました。でも、テレビでドラマが始まるから売れ筋と読んでの品揃えですね。日本テレビ系で14日水曜日午後10時から始まります。自閉症スペクトラム障害のことが原作通りきちんと伝わるでしょうか。そして、今こそ地域にサポートへの理解を呼びかける絶好のチャンスとして動き出す時です!

スターバックス

■先日スターバックスに行く機会がありました。タンブラーをひとつ買いました。ボディはゆるやかな曲線のデザインに変わっていました。エレガントです。スターバックスは私にとってもうひとつの空間です。ジャズが静かに流れる店内は自分のアイデンティティーを実感します。私のオーダーはいつもカプチーノです。同じカプチーノをオーダーする人がいると、ふと、どんな文脈の人かな…と想像してしまいます。
■ミュージック・ケア初級総合研修三重会場が最小履行人数をクリアして実施と連絡があってホッとしています。研修主任の野中千枝先生が来ていただけることもあってクオリティの高い研修になります。サポートスタッフとして参加できることを幸せに思っています。
■FOMAの取説を見ていたらPCとの接続ソフトが同梱されていることがわかりました。FOMAはPCと接続しなくても使えますがバックアップやデータ通信などPCとの連携を標準と考えて企画されているわけです。

「冬のソナタ」の音楽

■「冬のソナタ」のクラシックバージョンを聴いています。ドラマは先週初めて見ました。ドラマの演出は見えるものの韓国の日常が感じられてとてもいい印象でした。でも、音楽はちがう。音楽だけ聴けば日本のドラマと何ら変わらない。ところが、日本の音楽もまた日本の伝統音楽ではないから事態は複雑だ。音楽は素敵だけど人が受ける印象を大きく変えてしまう影響力があります。音楽は好きだけど音楽に溺れるだけではいけないと思う。そして、音楽の仕事をしている者の責任は大きいことを自覚するべきだと思う。
■リビングのテーブルに太宰治の『人間失格』があって、ふと、古いことを思い出しました。私にとっては古いことではないのですが…この本を「嫌だ!」と言える世代のなんと頼もしいことか!

青いバラ

■日曜日は朝から出張で山間部の重度心身障害者施設に行ってきました。櫛田川を見下ろす山腹を切り開いたロケーションは桜の頃とあってしばしその風景に見入ってしまいました。
■春休みのポコ・ア・ポコは2回だけでしたが実り多いセッションでした。2回とも7~8家族の少人数で、子どものことがよくわかって、そして、子どもたちもお母さんたちもリラックスしてみえました。
■今日、知人宅でブルーのバラを見せていただきました。切りバラで買ったとのこと。深くて、でも、明るいブルーで見ているとすい込まれそうです。素敵な色でした。そのバラを他の花たちとコップにアレンジするセンスにもため息が…! ベースはピンクのバラだと思いました。ブルーのバラは作れないとのこと。最相葉月の『青いバラ』(小学館2001)はバラの育種にまつわる人の想いの深さを教えてくれます。「丹精の薔薇を切る園丁の瞳…」
■青、といえば、閉店後の店内をブルーにライトアップする絵や額を扱うお店が市内にあります。いつも車で通り過ぎるだけですがとても素敵です。そして、東郷青児の絵を集めた京都の喫茶店「ソワレ」…昨年12月に京都に行ったとき、学生の頃と同じたたずまいで同じ所にあってとてもうれしく思いました。ここも店内はブルーのライトアップです。

欲しい

私は欲しい
視界から瞬時に消える
かもめの胸を

私は欲しい
ひきがねにかけられた熱い指を
丹精の薔薇を切る園丁の瞳を
岸壁に傷つく海のわき腹を

身をこがす
激しい愛の魔術が
嘘のように白く解ける一瞬のその清らかな顔を
私は欲しい

ふたたび
私はのぞまない
ただいちど
ひとが出会う
死の刹那
その心を
私は欲しい

村松英子1971『一角獣』より