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森の写真
「静かで、にぎやかな世界 ~手話で生きる子どもたち~」
昨日のNHK ETV特集をたいへん興味深く観ました。東京都品川区にある日本手話で敎育を行う明晴学園を取材した「静かで、にぎやかな世界 ~手話で生きる子どもたち~」です。NHKは昨年も明晴学園を特集した番組を制作しています。ハートネットTV「静かで、にぎやかな学校~手話で学ぶ明晴学園~」(10月2日初回放送)です。2つの番組は一部同じ映像を使っていながらずいぶん印象がちがいます。今回のETV特集はとりわけ引き込まれてしまって放送後すぐに録画を2回繰り返して観ました。はじめは特別支援教育の視点で観ていたはずなのに、いつの間にか敎育のあり方そのものについて考えてしまっていました。キーワードとして思い浮かべる言葉を並べてみると、「子どもの成長」「身体性」「今日的な教育課題へのアプローチ」「言語の獲得」「自己形成」「少人数教育」等々です。敎育全般に汎化する問いかけがたくさんある番組でした。「今日的な敎育課題へのアプローチ」とは教育の本質を問うときのひとつのモデルとの受け止めです。このあたりは制作者もNHK_PRのサイトに記しています。「初めてこの学校の子どもたちを見たときに、考えさせられたこと。それは、子どもの育ちに必要なことってなんだろう…ということでした。」私もそうでした。特別支援教育について云々する前にまず教育、子どもの育ちのために教育は何をしなければならないのか、それを問うことが不可欠であることをこの番組の子どもたちの姿が私たちに示しています。
もうひとつの“ポコ・ア・ポコ”
日本在宅医学会をふり返って
先月末の日本在宅医学会は情報の質、量ともたいへん充実していて抄録やメモを読み返しては在宅医療の現在に思いを巡らせています。シンポジウム「居場所づくりが地域を豊かにする~こども食堂や保健室~」の終了間際にフロアからあった発言(質問)は今後目指すべき社会のあり様を示唆しているように思いました。「人の支援を目的化しない」つまり、コミュニティを構成する人たちが自分たちの「身の丈」に合ったコミュニティの機能を見つけ構築していけるように仕掛けを作っていくことの大切さです。この学会は文字通り在宅の患者を見守る医師の会で子どもたちも然り。病気や医療的ケアの子ども、障害があったりがん経験者や緩和医療を受けていたりする子どもたちです。特別支援教育の専門性とも深くリンクする内容でした。がん教育を行うに当たって小児がん経験者や家族にがんの人がいる子どものサポートにつながる具体的な取り組みの報告もありました。また、六車由実さんの「「対話」によるつながりの「回復」ー介護民俗学の聞き書きの実践からー」と森川すいめいさんの「オープンダイアローグ(開かれた対話)なぜ対話だけで精神病状が安定するのか?」は玉手箱が目の前で開けられているように思われて深く心に刻まれました。丸々2日間学会を聴き続けて、聴くということでこんなにも疲れたことはないというほどのエネルギーを使いました。でも、この先の私の活動や取り組みのベクトルをしっかり見定めるまたとない機会となったことは確かです。