日別アーカイブ: 2000-06-08

久里浜だより19

■いよいよ梅雨入りですね。明日から天気がくずれると聞いて今朝早く洗濯をしました。いい天気で昼までにすっかり乾いたのに取り込まなかったら午後の講義の終わり近くに雨が降ってきてシャツの肩が濡れてしまいました。あーあ…
■今日の講義は上智大学教授の飯高京子先生の『言語の発達と障害』です。
■レジメのいちばんはじめの項目には、
1.はじめに
1)自分自身を知り、好きになろう
2)自分の 器を大きさ と やわらかさ
3)ひと として 生涯 成長しつづけよう
とあります。
■講義のはじまりは先生ご自身の満州での体験でした。終戦直前にソ連が攻め込んできて女と時計を要求したこと、日本軍も同じことをあちこちで行ったこと、両親が身寄りのない子どもを100人以上連れて帰国する途中病気で次々死んでしまったこと、帰国して70人以上のクラスで勉強する中ついていけない友だちができることを工夫したこと、教わった先生から特殊教育をアメリカで学ぶようにすすめられてアメリカの大学に行ったこと、大学で助手をしながら11年アメリカで勉強して帰国したこと…。言葉で形容できないくらいの話でした。
■そして次の項には、
2.ことばの発達についての基本的な考え方
1)ことばの発達は全体的な発達の一部である
2)発達には一定の順序性と 方向性がある
3)発達に 個人差が つきものである
4)発達は子ども自身の のびる力と 子どもをとりまく環境との 相互のかかわりあいの中で可能となる
とあって、講義はその理論的背景とビデオやスライドを使ってのケース・スタディでした。
■飯高先生も人と人との関係、コミュニケーションの大切さを強調してみえました。人と人との信頼関係があって初めて言葉の学習も可能となるのです。そうそう、コミュニケーションは音声言語だけではありませんね。
■昨日さくらんぼ保育園でたくさん体を動かしたので今日の座学はかなりがまんするところがありました。仕方ありませんね。あと、とりとめのないことを書きます。
■いつだったか、会社や学校帰りの人でいっぱいの新宿駅の構内を歩いているとブルース・ハープがきこえてきました。ハーモニカで吹くブルースです。路上パフォーマンスです。私は音のする方に行ってみました。すると、ネクタイにダークスーツのサラリーマンと思しき長身の青年がビジネスバッグを後ろに置いてブルースを奏でているのです。彼にとってそのひとときが彼のアイデンティティーなのかも知れません。痛快だと思いました。昼間はオフィスで黙々と仕事をしてアフターファイブの新宿駅で路上パフォーマーに豹変するのです。なんだかすてきでしたね。
■今年の知的障害教育コースのメンバーは近年にない集まりなんだそうです。乗りやすい。しかも悪乗り。でもよく遊ぶヤツほどよく仕事?をする。一昨日の実地研修先の教頭先生の話がけっさくでした。「昨年の研修員の方は良識ある紳士的な方ばかりで…」と、質疑の時間に質問もなくあっさりと終わったそうなんですが、今年はすごかったです。次々と質問が出て3人の教頭先生は回答に焦ってました。(私も質問してしまいました。知りたいことは知りたいのだ!)
■研修棟では毎日どこかでパソコン教室が始まります。休みのたびに秋葉原でパソコン買ってくる人がいて初歩の初歩からインターネット、画像処理まで一気に勉強しています。南大沢学園の中学部の音楽の時間にパソコンでヤマハのピアノプレーヤーをドライブしていたのを見てパソコンを買う決心をした人もいます。NISEの研修制度はひょっとしたら経済波及効果も大なのかも知れません。またそれだけコンピューターはいろんな可能性をアピールするモノなのでしょう。これもネットワークがあるからこそなのだと思います。コミュニケーションですね。私自身もニフティのネットワークと資産を利用したくてパソコンを使い始めました。1996年夏、4年前のことです。今期の研修員は研修期間が終わってからもインターネットで情報のやりとりをします。私は音楽ソフトの使い方をレクチャーして音楽情報のネットワークを広げようとしています。1人1人は1本の細い根です。でもその1本1本が集まると強靭な生命力をもつ草がたくましく成長します。研修が終わってから研修が始まる、そんな気がするこの頃です。だって、あと1月しか久里浜にいられないのだからアフター久里浜を考えてしまいます。