月別アーカイブ: 2002年11月

“アコギ”な冬

■この土曜日、勤務先の養護学校の文化祭で音楽ワークショップをして、フォーク・ギターを指で弾いてスチール弦のギターの印象が変わりました。今回、ギターを療法的に使いたくていろんなピックなどを試しているうちに指で弾くことに行き着きました。それがフィンガー・ピッキングという奏法だということはその日の帰りに寄った書店で立ち読みして知りました。『アコースティック・ギター・マガジン vol.14』です。
■少人数グループの子どもたちひとりひとりと音楽でやりとりする療法的なシーンでギターはとても使いやすくて、アメリカでギターは音楽療法士になるための必須楽器になっている理由がよくわかる思いがしました。
■『アコースティック・ギター・マガジンvol.14』を見てアコギの値段にびっくりしました。このあたりの店ではせいぜい10万円代までの品揃えです。でも40万50万はザラにあって100万円超も少なくありません。自然の木を使っていることもあってヴァイオリンと同じ世界だと思いました。それだけに楽器の管理の難しさはヴァイオリンと同じと思います。だから新素材のRAINSONGに惹かれるのです。ギターは気軽に使いたい!
■フィンガー・ピッキングはマイナーな奏法かも知れませんが、コードをジャランと弾くことと比べてひとつひとつの音の機能がきちんと活かされてクリアな音が出るのはもちろん、コードを確実に押さえることが苦手な私にとってはとにかく弾きやすいのです。鳴らしたくない弦を鳴らさないからです。それは私の感じ方ですが、今、フィンガー・ピッキングはアコギ奏法で注目株のようです。しばらくアコギにはまりそうです。
■MPVにスタッドレスを履かせました。MPVはオフセットがマイナーな設定なのでタイヤとホイールのお値打ちセットは選択の余地がなくて、K2(ヨコハマF720)とアッシスGTという組み合わせです。アッシスGTはシンプルな6本デザインで好感があります。驚いたのはK2です。ドライでのスタッドレス特有のこもるようなノイズはありますが走行フィーリングは純正のラジアル以上で、直進性に申し分ないだけでなく横Gへのふんばりはスタッドレスを履いているとは思えないしっかりしたものです。スタッドレスはラジアル以上に個性がはっきりしていておもしろい! 近年にないこの寒い冬、ただただ真っ白な中をドライブしたいもの…

『見上げてごらん夜空の星を』

■寒くなりましたね。今年も暖冬かと残念に思っていたのでうれしい! 雪が好きだから(^_^)/~~~ 少し前、スタッドレスタイヤを買いに行ったら売り切れという夢を見ました。 この日曜日、ミュージック・ケアの総合研修第3回の帰りに通った青山高原は気温が2℃でした。「凍結注意」の表示まで出ていました。それでなくても山間部を通勤する毎日、早目にスタッドレスタイヤに替えなくては! そして、冬の八ヶ岳高原に…行けるかな?
■今使っているVAIO-SRのHDDに音楽を録音してみました。これが快適です。今も音楽をききながらキーを叩いています。ソフトはSonicStageで、適度に圧縮して記録するのでHDDの空き容量を気にせずに使えます。SonicStageはHDDに音楽を記録して再生するだけでなく、CDのバックアップ、オリジナルCDの作成、MDへの音楽データ転送と、音楽好きにはたまらないソフトです。これではソニーの思うつぼですが、やっぱりVAIOは魅力的です。ミュージック・ケアのセッションにパソコンでMP3ファイルを使っているセラピストがいます。納得の使いやすさです!
■VAIO-SRのHDDに録音したのはミュージック・ケアの音楽です。+αに坂本九の『見上げてごらん夜空の星を』を加えました。坂本九の歌に合わせて手話で歌うと泣けてきます。メロディーも歌詞もいい。音楽的にもクリシェのお手本となる和声進行で心の奥深くすっと入ってきます。すてきな歌です。人は“死ぬ”と星になるのかも知れない…同じクラスだった子が12歳で逝ってしまいました。“お星さま”になったと思いたいのです。

ノードフ&ロビンズ創造的音楽療法

■11月2~3日と、財団法人ひょうご子どもと家庭福祉財団主催の第101回療育研修会「特別な配慮を必要とする子どもたちのための音楽療法」に行ってきました。会場は兵庫県三田市の“さんだ子ども発達支援センター”です。講師は千葉県の船橋音楽療法研究室主宰の濱谷紀子先生・同研究室所属の益山ゆき先生です。2日間、延べ10時間、まさに音楽漬けでした。
■カテゴリーでは、ノードフ&ロビンズ創造的音楽療法です。私はノードフ&ロビンズ共著の『障害児教育におけるグループ音楽療法』(人間と歴史社 1998)を座右の書としながらも、ノードフ&ロビンズ創造的音楽療法のセッションの実際についてはあまり知りませんでした。今回、数々のセッションの記録ビデオを見ながら説明を聴いて、また、実習もすることができ、その核心に触れた思いがしました。2日間にわたる研修で、私は音楽以外の仕事に復帰できるかどうか不安になったくらいです。すばらしい研修を提供していただいた濱谷先生と益山先生に心から感謝しています。
■濱谷先生はニューヨーク大学のノードフ&ロビンズ音楽療法センターに留学し、デュプロマの資格を取得されています。45歳を過ぎてからの留学とのこと、その精力的な勉強の姿勢に自分が恥ずかしくなってしまいました。
■研修の中で何回か説明があったことで、音楽療法はゴールを設定し、ゴールに到達した時点でセッションが終結することは、音楽療法が「療法」である以上いつか終結することはわかっていながらも、教育職の私にはどうもなじめない考え方です。どこかプラグマティックでアメリカ的です。ミュージック・ケアの考え方とちがう点といっていいでしょう。ミュージック・ケアは教育的な色彩が色濃くあります。
■しかし、ノードフ&ロビンズ創造的音楽療法のパワーは相当なものと感じました。ゴールへのベクトルの強さも、ピアノ演奏の技術のレベルの高さもカルチャーショックといえるほどでした。実習は緊迫感がありましたが追い込まれている感じではなく、むしろ心は解放されていくように思いました。音楽療法は芸術レベルの追求ではない。でも、「アート」の現場の真っ只中にいる自分を感じていました。これは意外な体験でした。でも、それだけ至高の非日常体験だったといえるわけで、今、こうして家でパソコンのキーを打っていてもどこかしらちがう自分を感じる。それは何だ!というわけです。たいへんヒューマニスティックな音楽療法と実感しました。
■音楽は「原形」が大事だという話があって納得するところでした。世界中で生まれてきた音楽にはそれぞれ背景がある。砂漠ではミドル・イースタン、スペインのフラメンコ、日本の民謡、アメリカのブルース、みなそれぞれに自然と人々の生活が背景にある。それだけに人の心奥深く訴えるものがある。デリカシーもパワーもあるのです。
■今回、使った楽器はすべてアコースティックでした。ピアノはこの研修のためにわざわざ運び込んだとのこと。アップライトでしたが調律がきっちりしてあって気持ちのいい音でした。もちろん、益山先生のテクニックに負うところが大きくて、私もアコピの練習は続けようとあらためて思ったのです。
■それと、ピアノの即興弾きです。ノードフ&ロビンズ創造的音楽療法はクライエントの声や動きからテーマを設定し、即興で音楽を作り、展開してクライエントとかかわっていくのがセッションの主なスタイルです。2日間、ピアノのすぐ横の最前列の席を確保して益山先生の演奏を肌で感じてきました。これもカルチャーショックでした。今まで知らなかった音たちでした。親しみがあってシンプルでわかりやすく働きかけがはっきりしいて音そのものがすごくきれいでした。ノウハウはあるにしても自分で見つけなければならない音でした。
■夜は“県人会”の飲み会となって、県内外の音楽療法について情報交換ができてこれも大事な研修でした。
■昼の研修でも夜の研修でも話題になったことで、「学校」には音楽療法はなじまないということがあります。音楽療法と学校とでは、子どもと音楽とのかかわりの評価が全くちがってしまっているからです。ですから、私自身、音楽療法の曲を授業で使うことにとても慎重です。音楽療法の曲が「結果」が出やすいのは当然です。子どもを支え、子どもが主体的なアクションを起こしやすいように作られているからです。しかし、ゴールもちがうが評価の観点もちがう。子どもが何ができるか、つまり、Doingに主眼がおかれがちな学校現場では、子どもが音楽と今どうかかわっているかということ、Beingを大事にする音楽療法の考え方は相容れないのが現状です。子どもの理解のベクトルがちがうのだと思っています。夜の県人会でこんなエピソードを聞きました。「学校でも病院でも『がんばれ、がんばれ』と言われる。でも、ここ(音楽療法のセッション)では『がんばれ』と言われないからほっとする!」これは障害がある子どものお母さんの言葉です。障害のあるなしにかかわらず、子どもたちが音楽といい出会い方をしてほしいと私は心から願っています。
■子どもの見方、ということでは、自閉症スペクトラム障害の子どもの理解がやはり気になりました。自閉症スペクトラム障害の子が何をどう感じているかということはハイファンクションの自閉症スペクトラム障害の人たちの体験によって明らかにされてきつつあります。このところカバンに入れて読み返している本は、酒木保の『自閉症の子どもたち~心は本当に閉ざされているのか~』(PHP新書 2001)です。自閉症の子どものものの感じ方に“こだわって”踏み入る彼の感性に共感を覚えます。
■そうそう、先週、「秋のイタリア料理教室」に行ってきました。メニューは①温野菜のバーニャカウダソース②豚肉のカツレツ、ミラノ風③じゃがいものニョッキです。シェフの一言一言、一挙一動からノウハウを盗もうと乗り込みましたが、調理が始まって私がいちばんはじめにしたことは3本の包丁を砥ぐことでした…(>_<)