月別アーカイブ: 2004年8月

夏休みのポコ・ア・ポコを終えて

■昨日で夏休みのポコ・ア・ポコが終わりました。わずか5日でしたがたくさんのみなさんに来ていただいて感謝しています。地域の療育関係の場でのセッションでは年に1回しか会わないお子さんもいますが、セッションを進めていく中で1年前のポコ・ア・ポコを思い出してくれて積極的な参加をしてくれます。記憶の引き出しに視覚と聴覚と固有覚、そして、前頭葉の記憶もいっしょに、質の高い体験としてたくさん入れておくこと、そんな子どもの育ちをサポートする環境の大切さを実感します。また、ポコ・ア・ポコの活動を通して私は子どもが人を信じることができることの大切さをますます強く感じるようになってきています。ポコ・ア・ポコも子どもたちが信じることができる対象でありたいと思っています。今まで築いてきた質、構造性をキープすることで応えていきたいと思っています。
■6月のポコ・ア・ポコあたりからMDが曲の途中で止まることが起こってきています。車でも長時間同じMDを聴いていると同じようなことが起こることがあります。ポコ・ア・ポコのMDのはいつも車に載せています。夏場の高温で不具合が出てきているのかも知れません。たぶんMDは高温に弱い。今のところ他に替わる機材がないのでしばらくMDを使い続けることになりますが、いささか心もとないのでMP3プレーヤーなどの可能性も探っていきたいと思っています。
■テレビで布袋寅泰のライブを放送していて最後まで観てしまいました。彼の音楽は古典的だと感じました。そもそもエレキギターのリフはクラシックの音楽理論に則ったものと私は捉えています。モード奏法です。モードは言葉の言い回しに根ざしている。だから安心して聴ける。彼の音楽はいい。
■台風16号が近づいています。今は嵐の前の静けさ…

風車

■出張の帰りに青山高原の風力発電の風車を見に行きました。風車のすぐ前に立ったとき私はその大きさと羽根が空気を切り裂く太い低い音に圧倒されました。風力発電の風車の実物を見るのは初めてです。目的的に効率を第一にデザインされたその姿は不思議な形に思えました。一切の無駄がないというのはどういうことなのかとその大きさで私に迫ってくるようでした。テクノロジーのパワーを肌で感じる思いもしました。
■ちょうど日没間際で夕日がきれいでした。カメラを持ってきてなくて携帯のカメラで撮りました。DoCoMoのFOMA F2102Vは露出補正ができて“作品”作りができるところがマニアックでおもしろい。左は標準、右はマイナス補正(EV-1程度)です。右の写真はもう少し空を入れる方がよかったと思う。
■風車の羽根が空気を切り裂く音は音が空気の振動であることを実感するものでした。そして、切り裂かれる空気の乱れやよじれを思わせる音は今まで聴いたことのない音でした。ロシナンテを駆って風車に向かって行ったドンキホーテは風車に何を感じていたのだろう。

誰だって幸せになりたい

■@niftyから入会8周年のお知らせのメールが届きました。8年前というと1996年、Windows95全盛期にWindows3.1でニフティ・サーブのフォーラムを使い始めました。IBMのThinkPad535E、Windows95でホームページを開設したのは1998年のこと。この10月で6年になります。“南の風”のサイトは私の情報発信の場です。たくさんのアクセスをいただいて感謝しています。
■今夜、NHK教育放送の「ETV特集」で「ディスレクシア・英国の実践」が放送されました。具体的なサポートが公教育でシステム化されているところが高く評価できます。イギリスと同様“先進国”であるはずの日本ではようやく特別支援教育の場でサポートがシステム化されようとしているところです。20年以上のギャップがあります。軽度発達障害の子どもたちへの理解とサポートも明日からではなく今日から求められていることを教育関係者は認識して自分にできるアクションを起こさなくてはなりません。そして私は、今、本人への障害の告知について考えることが多くなっています。誰だって幸せになるために生まれてきたのだ。がんばることとがんばらなくていいいことを具体的に子どもが腑に落ちるように知らせることも教育者の責務ではないのでしょうか。得意な分野での成功を褒めて自分を愛する気持ちを育まなければならない。番組でも成功体験の積み重ねの大切さがアピールされていました。大切なのは本人の気づきです。子どもひとりひとりの歩みにどこまで寄り添えるのか、そこが教育者のセンスです。本人への告知、本人の気づきと受け容れ、心の“問題”についても番組は取り上げています。これらがシステム化されているイギリスの教育制度はすばらしいのだけどそんな子たちを支えるのは先生ひとりひとりなのだ。先生との関係性の確かさが子どもを支えるベースになっているのです。
■ABBAの「チキチータ」を聴くたびにユニバーサルデザインの音楽だと思ってしまいます。「チキチータ」はスペイン語で「ちっちゃな女の子」の意味とのこと。ユニバーサルデザインということは何かうれしいことがあったときも落ち込んだときも聴けるということ。
■動き回る子どものスナップ写真を何枚かカメラ店でプリントしました。子どものふだんの姿を写す写真はピントもブレも二の次で、タイミングと構図が写真を決めるファクターです。オートフォーカス一眼レフでは追い切れないショットと思いました。私は高校までレンジファインダーを使っていてその頼もしい機動力を時々思い出します。
■古本屋で神立尚紀の『撮るライカ』(光人社2004)と『ライカ通信№10』(枻出版社2003)を買いました。ライカはカメラも高いが本も高いから古本屋頼みです。ライカの本を読むと自分の写真の原点を教えられる思いです。
■ようやく涼しくなってきました。でも、曽爾高原のススキの穂はこれからでした。ススキの穂が風になびくころ、また行きたいと思います。

レインマン再び

■「レインマン」は自閉症の文化だけでなくアメリカの文化も伝えています。施設もロケーションもハイウェイも家もモーテルもアメリカでなくでどこなんだ!アメリカそのもの!だということ。アメリカ・クオリティだ。物質文明の最たる姿ですが、欲望の実現という発想ではなく、人を大切にしているが故の発想だと考えてみる。アメリカはどんな社会なのだろうと思い巡らすのです。
■今回久しぶりに見てトム・クルーズばかり追ってしまいました。彼はLD(学習障害)とのこと。子どもの頃学業でずいぶん苦労したと思うが、今、彼がすばらしい俳優として楽しませてくれるまでになるプロセスでアメリカの文化がどう係わってきたのかを知りたい。直接的にはサイエントロジーという宗教がサポートしてきたとのことだが、それも私にはアメリカ的と思えるのです。サイエントロジーは精神的という以上にプラグマティズム、現実的な対応で彼をサポートしてきたのではないだろうか。それは具体的な方法論だと思う。宗教であるかどうかはとりあえず二の次にして本人が求めるサポートは何なのか、そして、それがサポートであり得る社会の文脈を考えたいと思うのです。
■夜、“南の風のトマトソース”にナスとシーフードを入れてパスタを作りました。ピュアな味で200グラムのパスタを食べてしまいました。パスタは1.6mm、ちょっと硬めがおいしい。仕上げのネギがなくて心残りでした。
■夏休みに入ってカメラのシャッターを切ることがほとんどなくなってしまいました。仕事はデジタルが100%になっていますが、やはり気になるのはライカを筆頭とする銀塩モノクロです。フィルム2本を同時に現像できるタンクを買ったのにまだ1回も使ってない。撮りたい写真のイメージがこの頃頭の中をぐるぐる回っています。また始めよう…

レインマン

■久しぶりに映画「レインマン」を見ました。ダスティン・ホフマンもトム・クルーズも好きな俳優です。この映画は自閉症の世界へのアプローチのステップがていねいに描かれています。ほんとによく考えられた脚本だと思います。
■三重県立養護学校玉城わかば学園の公開講演会で、日本LD学会会長・東京学芸大学副学長、上野一彦さんの講演を聴いて私は胸のすく思いでした。特別支援教育はもちろん大事ですが、これまで学校の先生たちが積み上げてきたことを大切にして自信をもちなさい!というメッセージは私も発信してきたことです。学校の先生だからこそ結び得る子どもたちと保護者との関係性は、社会が変わっても変わることのない、ヒューマニズムに支えられた営みです。学校の先生のアイデンティティーはここにあるのではないでしょうか。かといって先生は自分の経験を過信してはいけない。「理論・経験・創造性」はバランスが大切ですが、その中でも創造性、斬新さの大切さを思うこの頃です。

音楽漬けの夏に

■夏休みになって慌しい毎日が続いています。昨年は県内外の研修会のはしごをしていましたが今年は勤務校と地元の活動のはしごです。昨日は勤務校のPTA行事でセッションをしました。ミュージック・ケアの理論も説明しながらのセッションとなりました。1時間15分はあっという間でした。
■障害がある子どもたちの松阪市サマースクールは今日が2日目でした。音楽が嫌いで聞こえてくると耳を押さえてしまう子がいて、今日は視覚と固有覚への情報が大きいプログラムから始めました。シャボン玉、そして、小さなバルーンに青と赤のボールを乗せて落ちないようにバルーンを操作するプログラムです。介助スタッフの協力もあってその子は耳を押さえることなくセッションを終えることができました。いつも思うこと、それは、子どもがいちばんの先生だということです。いちばん大切なことは子どもたちが教えてくれる。
■2年前に名古屋市立科学館のショップでプラネタリウムで使われている音楽のCDを買いました。同じ棚にダニエル・コビアルカのCDアルバム「星に願いを」もあって、これもプラネタリウムで使っているんだ!と思いました。私は仕事でよく使います。そのとき買ったCDもよく見るとダニエル・コビアルカの作品が入っていました。いちばんのお気に入りの「アンチェインド・メロディ」でした。インターネットで調べると彼はサンフランシスコ交響楽団の第2ヴァイオリンの主席奏者とのこと。CDもたくさん出ていて知る人ぞ知るアーティストのようです。彼のアレンジはテンポをかなり下げてもやもやっとした印象です。いつの間にか目に見えるような、手を差し出せば触れることができるような、そんな音たちに包まれるような音楽です。ベースはシンセサイザーです。それがとても心地よくて時間が止まっているかのような感覚になります。いつかセッションで使いたい音楽です。この夏は音楽漬けになるかも!
■万年筆のインクがなくなって入れました。ウォーターマンのサウス・シー・ブルーはお気に入りになっています。これで水に強ければいうことなしなんですけどね…

空間の質

■8月の日曜日のポコちゃんは11家族のみなさんに来ていただきました。スペースにも余裕があってふだんしないプログラムも入れて1時間半近いセッションとなってしまいました。就学前のお子さんにはとても長い時間ですが最後まで集中してくれました。お母さんとお父さんのフォローに感謝しています。