月別アーカイブ: 2017年9月

「自閉症アバターの世界」

木曜日に風が変わりました。午後から北よりの強い西風が吹いて灰色の雲がかかって寒々とした光景となり、帰路は上着を着ました。寒冷前線の通過とはいえもうすぐ10月、一気に衣替えモードとなりました。今年のクールビズは9月末までです。

今週放送されたNHK-ETV「ハートネットTV」の「自閉症アバターの世界 第1夜 脳内への旅」「自閉症アバターの世界 第2夜 仮想と現実を生きる」を観て新たな文化に触れたように思いました。仮想空間「セカンドライフ」はそういえばそんなのがあったなぁというくらいの理解でしたが、近年は「人口」が減ってきた中で自閉症の人たちがそこに集い、共感し合いながら自分らしさを表現していると知ってシルバーマン著「自閉症の世界」の記述を思い出しました。ネット上でつながる自閉症の人たちです。現実の音声によるコミュニケーションと仮想空間の文字のコミュニケーションのそれぞれの微妙なちがいも興味深く思いました。英語の特性もあると思いますが、音声にしろ文字にしろ自閉症の人たちには英語の方が言葉を発するときのエネルギーが少ないのではないかと思いました。日本語と比べてのことです。英語は助詞がなく語順でニュアンスの妙を伝える場面が多いように思うからです。番組の録画はまだ1回観ただけですが学ぶことは多々あります。池上英子の著書「ハイパーワールド:共感しあう自​閉症アバターたち」(エヌティティ出版 2017)を取り寄せることにしました。

英語ということだけでなく、文化という点で番組のロケーションもセカンドライフもアメリカ以外のどこでもないという印象があります。一言ではやはり多様ということか。いろんな意味での多様さで、ベースとなるあり様はリベラルです。池上英子が社会学者であることも、そうした人文系基礎研究を行う環境があることも、また、その環境の物理的な豊かさも然りと思いました。

NHKハートネットTVサイト
池上英子サイト

今日は京都に行っていました。季節も天気もいいのにカーテンを閉め切った部屋で半日パワーポイントのスライドを見ていました。来週末の3連休も京都で缶詰めでしばらく京都通いが続きます。

「私たちの音楽」

弦楽器専門店シャコンヌのカレンダーをよく見ると休日と思しきピンクのマーキングの日がどこかおかしいことに気づきました。8月にないはずの9連休があったり、9月にあるはずの3連休がなかったりで歯を磨きながら一瞬目が点になりました。よく見ると右下に「Shop Closed(休日)」とありました。このカレンダーの写真はアマティのバイオリンの表と裏、横から撮った写真3枚が白をバックに整然と並んでいて見ていると美術作品を鑑賞しているようです。ストラディバリよりやや細身でコロッとしているところは私の楽器と似ています。

そのアマティからウィーン・フィルハーモニー管弦楽団につながって、Wikipediaでこんな言葉を見つけました。ウィーン・フィルの「演奏はウィーン・スタイルであり、ウィーンの音楽センス(“私たちの音楽”)を持った指揮者でなければ指示に容易には従わない。」・・・「私たちの音楽」・・・私の中である言葉と結びつきました。“My Tribe”です。これはシルバーマン著「NeuroTribes: The legacy of autism and how to think smarter about people who think differently Kindle版」のあるレビューの見出しです。その読者はおとなになってからアスペルガー症候群と診断を受けた当事者で、この本を読んでthe Neurodiverse and Neurotypical world(神経多様性と定型発達のどちらの世界)にも有益であることに感謝の意を述べています。(要約です)見出しの「My Tribe」が表すものは、この本の表題「NeuroTribes」に少なからず我が意を得たりと通じるものがあったからでしょう。それを「My Tribe」というのは、性格でもなく嗜好でもなく、病気でも障害でもなく、自分のありのままの姿そのものということではないでしょうか。もちろんポジティブとしてです。そうしたことを考えつつ、今までの経緯を見極め、今の姿を見極め、そのうえでこれからどうしていくかについて言葉を交わしていかねばならないと考えます。その中で大切にしていきたいのは「私たちの音楽」なのです。

映画とファッション

この土日は細々した用事で過ぎました。日曜日は早朝から町内一斉清掃で、その勢いで自宅の庭の草刈りをしていたら蜂に刺されました。蜂に刺されるのは小学生の時以来で胸騒ぎがしたのですぐに市内の休日診療所に行きました。大事には至らなかったのですが、概ね2週間以内にもう1度刺されると稀にアナフィラキシーショックを起こすことがあるが今年は多いので気をつけるようにと聞いてまた胸騒ぎがしました。子どもの頃、虫刺されは日常的なことでしたがいつしか弱気になっていたようでした。

土曜日は立ち寄った衣料品店で季節の移り変わりを目の当たりにしました。そういえば、ここしばらく細切れながら観た映画でもなぜかファッションに目が行きました。「ココ・アヴァン・シャネル」はココ・シャネルの審美眼が生み出す新しい時代を切り開くデザインであり、「秘密の花園」ではメアリーのえんじ色のニットの帽子のかぶり方が醸し出すエレガントかつ自立した魂を彷彿とさせる彼女の芯のあるしなやかさでした。やはり服選びと着こなしは大事とあらためて思いました。「ココ・アヴァン・シャネル」も「秘密の花園」も主人公の眼差しの強さが印象的で映画のメッセージを一層際立たせているように思いました。

9月1日の空

8月末の季節の変わり目は劇的でした。前日までの蒸し暑さから打って変わって乾燥注意報が出るほどの過ごしやすさで終日エアコンのスイッチを入れることはありませんでした。仕事も前日で一区切りがついていて、9月からの新しいスタートに備えて様々思い巡らせながら準備をしていました。

9月1日、2学期のスタートはどこまでも青く広がる雲一つない青空の下、本校と分校、病棟や病室を回って始業式を執り行いました。病院に入る前にタブレットで空の写真を撮りました。病院内教室と病室でその青空の写真をタブレットで見せて「これなあに?」と聞きました。「海!」「空?」「何も写ってない!」 すごいね! どこでも正解がありました。今日の空でした。次に病院の建物も入った写真を見て子どもたちは満足そうでした。9月1日の空は雲ひとつない大きくて高くてどこまでも青い空でした。