久里浜だより8

■今朝は朝寝をしたので8時前に六角食堂に行きました。海が見える窓の前のテレビはちょうど中田喜直さんの遺作の話題でした。中田喜直さんは作曲家です。『夏の思い出』『雪の降るまちを』などの名作をたくさん作曲しました。この5月はじめに亡くなりました。彼の遺作は『すばらしき自然とともに』(こわせたまみ詩)という題です。病床で書いた楽譜はメロディーにコードがついただけのものでした。CやGといったシンプルなコードです。テレビではアレンジされてピアノ伴奏でソプラノ歌手が歌いました。なつかしい中田さんのメロディーです。時間が止まったかのようなひとときでした。中田喜直さんは私に日本語の歌曲の魅力を教えてくれた人です。CDが出たら買い直そうと思っています。
■IEPの講義から補足をしておきたいと思います。IEPの講義をされる先生方はみなさん短期目標は超具体的スモールステップだと言われます。例えば、「登校してランドセルをかける」「服の2番目と3番目のボタンかけをする」とか。これは佐賀大学附属養護学校のIEPです。
■干川先生もIEPを作るに当たっては、今ある情報を利用してスタートすることを言ってみえます。NISEの知的障害教育研究部長山下皓三先生は、まず1つ目標を決めて始めて、子どもとのかかわりの中から出てくることをまた目標にするくらいでと言われました。IEPを作ることに時間と労力をかけてすごい量のものを作っても使われないのではないかということです。佐賀大学附属養護学校のIEPは連絡帳や評価表兼通知表もあるので6様式ですが、少ないところでは1枚という例、評価が○×というシンプルな例もありました。(これは干川先生のOHPシートなのでコピーできませんでした)
■佐賀教育大学附属養護学校では、子どもたちの青年期の姿をめざしてトップダウンの考え方でIEPを作っています。子どもの成長のビジョンは地域で暮らす青年期の姿です。社会資源をどのように利用して自立し、仕事をし、余暇をどうやって過ごすのか、というところから考えます。だから小学部のときからお手伝いをしてもらったお金を貯めて映画を見に行くという学習活動もあります。小学校低学年はボトムアップの考え方も取り入れています。障害のちがいや障害のあるなしにかかわらずこの考え方は意義深いと思いました。
■今日の講義は「行動障害の分析と対応」で1日が終わりました。自傷が主なテーマでした。自傷、他傷、器物破損など行動障害はいろいろな形がありますが、「行動の型より、その行動の役割に注目する」ことが大事だという話が興味深かったです。自傷と他傷では全然ちがうではないかと思うのですが、子ども本人にとって「お母さんに相手してほしい」という意味なら自傷でも他傷でも何でもいいというわけです。知的障害の学校の子どもたちに多いケースかも知れません。もっとくわしい内容を知りたいときは連絡してください。明日の朝は7時集合で町田市まで実地研修に行くので今夜はちょっとご勘弁ください。

■訂正です。
■『久里浜だより』8号の「佐賀大学」が「佐賀教育大学」となっているところがありますが、正しくは「佐賀大学」です。もっと正確にいえば「佐賀大学文化教育学部附属養護学校」です。ごめんなさい。
■今日『英和中辞典』を家から送ってもらいました。英和辞典が手もとにほしくなるほどここでは英語が気になる講義が続きます。講義の文脈からして英語の方が理解しやすいのです。これ、私たち教育の現場にいる者にとって大きな課題ではないでしょうか。

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