年の瀬だというのに…

■年末というのはちょっとしたタイムスリップみたいな時間です。仕事もOFF! 大掃除をするといろんなものたちと再会します。
■今年の大掃除で見つけたビデオは1989年のNHK『加山雄三ショー』です。ゲストは薬師丸ひろ子と寺内タケシ、服部克久と宮川泰です。加山雄三の歌も薬師丸ひろ子の歌も寺内タケシのエレキ・ギターも円熟の今をきかせてくれて、13年後の今でもきき応えがあります。松本隆の詞もいい。服部克久のアレンジからも学ぶべきことが多い。シンセでアレンジするときいつも思い出すのはこの番組で服部克久がアレンジした対旋律なのです。曲は『仰げば尊し』です。今、音楽の構成はずっと複雑になっているかも知れない。だけど、この頃の音楽が持つストレートなベクトルにノスタルジーを覚えるのは私だけではないと思う。あと…薬師丸ひろ子の髪もみんなの髪も真っ黒だった!
■先日、ふと立ち寄った古本屋でメイプルソープの写真集を見つけました。『SOME WOMEN by MAPPLETHORPE』(邦題『メイプルソープと美神たち』 文:ジョーン・ディディオン 訳:高野育郎 JICC出版局 1992)です。原題と邦題のギャップはニュアンスというレベルではないが、実際に写真集を手にするとそんなことはどうでもいいことになってしまう。とにかくすごい迫力だ。何を何と言うべきかわからない。圧倒されてしまう。
■そういえば写真を語る言葉をほとんど持ち合わせていないことに気づく。これも少し前に古本屋で見つけたものだが、片岡義男の『なぜ写真集が好きか』(太田出版 1995)はなんとうまく写真について語っていることか! 彼は写真集の文脈を語っている。ストーリー・テラーなのだ。
■ストーリー・テラーといえば、メイプルソープの写真集といっしょに買ったのはポール・ギャリコの『マチルダ』です。舞台はニューヨーク、アスリートのカンガルーの物語です。この本の分厚さがいい。ポール・ギャリコの物語はずっとずっと続いていてほしいと思う。ページをめくるのがもったいない。
■『加山雄三ショー』のビデオはベートーヴェンのピアノ・ソナタ『悲愴』の第2楽章に詞をつけた『Brave New World』で終わります。これはスカイラインのかつてのCMみたいにエレキ・ギターでハイ・テンションでやるのがいいと思う。音楽療法のセッションでは場のテンションのコントロールにいちばん気をつかいます。発達に遅れのある子どもたちはとてもナイーヴな感性の持ち主です。だからかなぁ…ひとりのときはテンションの高い音楽に惹かれます。今日、あるサイトでマクラーレンの1992年のF-1マシン、MP4/7Aのホンダ・ミュージックをきいてまたまた心穏やかならぬ血の騒ぎを覚えました。新聞を見ると武満徹の全作品集のCDの広告があるではないか! ますます落ち着かないまま2003年を迎えそうです。

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