日別アーカイブ: 2020-02-24

映画音楽2題

ひとつは「戦場のピアニスト」、もうひとつは「シンドラーのリスト」です。どちらもNHKで放送がありました。どちらも第二次世界大戦下のナチスによるユダヤ人迫害を描いています。「戦場のピアニスト」は表題通り音楽も登場人物の如く物語で大きな役割を果たします。「シンドラーのリスト」は劇伴としての音楽です。

「戦場のピアニスト」は追いかけ再生を観始めたらそのまま最後まで観入ってしまいました。実話に基づく映画です。目を伏せたくなるような凄惨なシーンが続きます。隠れていたところをドイツ軍大尉に見つかり、職業を聞かれて「ピアニスト」と応えて弾くように言われて弾いたのがショパンのバラード1番でした。大尉はその演奏を聴いて彼を捕えようとしないばかりか食糧も自ら届ける。現実は小説よりも奇なりといいますがこの映画を観るとやはり音楽の力を思わずにはいられない。ただ、映画の全編にわたって音楽が流れるという作りではありません。それゆえ廃墟で弾くバラードが一層印象深く響くのかもしれませんが取り寄せたサウンドトラック盤CDの演奏はどれも惹きこまれてしまいます。コンサートで聴くショパンとはどこかちがう音楽だと思います。

「シンドラーのリスト」の音楽はイツァーク・パールマンのバイオリンが素晴らしい。作曲はジョンウィリアムズです。今回、映画を観ながら聴くとそれは終わりのない、完結しない音楽のように思いました。旋律が上行と下行を限りなく繰り返しているように聴こえます。戦争の犠牲となった人たちのやり場のない悲しみが永遠に癒されることがないように音楽もまた延々と続くのだ。サウンドトラック盤のテーマは4分10秒余りですが終わっても終わった気がしない。解決も完結もない後味が残ります。音楽の理論上、構造としては終結していますが音楽が紡ぎだした情感は終息されずにいるとでもいうべきでしょうか。このような音楽も音楽療法の場で奏されることが相応しい場面があるはずです。