日別アーカイブ: 2013-05-18

『福子の伝承 民俗学と地域福祉の接点から』

(大野智也・芝雅夫 1983 堺屋図書)この本を探し始めてもう7〜8年になるだろうか。やっとネットに出て入手することができました。学術的には未整理の部分があるようですが、一定の事例をこうして集めているだけでも大きな価値があるものと考えます。帯に「なんらかの障害をもつ人をさして、「フクゴ」(福子)、「タカラゴ」(宝子)などと呼び、かれらにある意味を与えていた“伝承”が各地にある。判明している60事例余を示すとともに、その“伝承”を現在にどう活かしていくかを考える。」とあるように、歴史的に障がいや障がいのある人をどのように考えてきたかということについては研究する意味があります。社会学でもあり、哲学でもあります。そして、持続可能な地域社会の在り方を探ることでもあります。今、この本が手もとにあることはひとつの大きな拠りどころを得たことのように思います。

ところで、ネットで検索するとこの本の情報はアメリカのミシガン大学につながります。また、すでにデジタル化されているとか。この本の価値を認めての入手とデジタル化なのだろうか。日本の大学の図書館のオンライン蔵書検索で調べても40館程度です。基礎研究にかけるエネルギーはアメリカの方が勝っていることの一例かも知れません。