ショパンはお好き?

三重県身体障害者福祉施設協議会研修会でミュージック・ケアの研修がありました。講師は日本ミュージック・ケア協会認定指導者で私もとてもいい勉強の機会となりました。音楽をきちんと聴くこと、これは基本です。また、動作はもちろんのこと、「指先まで美しい」ことも大事だ。今日はポコ・ア・ポコに来ていただいているお子さんのお母さんもみえて、ポコ・ア・ポコで私が言わないながらもしようとしていることが講師の先生の説明でよく理解できたとのことでした。これはほんとにうれしいことでした。
音響は小型のPAを使いました。その澄んだやわらかい音はミュージック・ケアの音響にふさわしいものです。床に置かれたスピーカーはサイドバックが斜めになっているので約45度の角度で音が出ます。その音が上から降り注ぐように体育館に広がるのです。研修会の前に加古隆のピアノソロを流していて聴き入ってしまいました。
今日の朝日新聞朝刊の音楽展望は吉田秀和の「ショパンはお好き? ピアニストが自分映す大事な鏡」で、たいへん読み応えがありました。ピアノを弾く人なら誰もが一度は夢中になって弾くショパンですが、ショパンを弾き続けるピアニストはそういないように思います。でも、されどショパンです。ショパンに憑かれたように弾いた頃を思い出すかのように、ずっと後になって身近に感じるのがショパンならではなのかも知れません。思春期の音楽なのでしょうか。ショパンを弾くとピアニストの思春期の甘酸っぱさが伝わるようでもあります。私はあるときから可憐なショパンはあり得ないと思うようになりました。ジョルジュ・サンドがショパンの手を「鉄の指」と喩えたと知って意を得たりと思いました。「あんなに華奢にみえて強靭、真剣であって、しかも優雅な音楽はほかになかった」という新聞の一文はショパンの音楽の核心だと思います。でも、「もしショパンが生き返ってきて、この200年の間に数限りなくくりかえしひかれてきた『ショパンの音楽』にぶつかったら、『これ、ぼくの音楽?』と疑うことも少なくあるまいと思う。」と私も思います。吉田秀和は御年96歳、なんと瑞々しい文を書くのだろう! 高校時代からずっと読み続けてきた音楽の師匠です。

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