子どものためのホスピス

今日のNHK-BS2「週刊ブックレビュー」は開高健の特集でした。茅ヶ崎の開高健記念館でのロケです。私は彼の晩年の一部しか知らなくて今日は食い入るように観てしまいました。私が知る開高健は、旅、釣、食、酒という4つの言葉でイメージされています。ベトナム取材はなぜか私の印象にはありません。ベトナムで石川文洋と出会っていることは何かで読んだことがあるように思いますがやはり印象に残っていません。今日の番組ではベトナムで文字通り「生き残った」体験なくしては彼の文学はなかったであろうというコメントがありました。彼の文体は「重力を持っている」とのコメントも興味津々で「闇三部作」も読んでみたいと思いました。
「週刊ブックレビュー」を観ていたとき、外で車が止まる音とレジ袋の音がしました。後で見ると玄関のドアに宅配のメール便がぶら下げてありました。先日注文したブラームスの弦楽五、六重奏曲(全曲)が届いたのです。パッケージを開けて聴く頃には再び雨が降り始めていました。ロンドンに住んで室内楽のコンサートを定期的に開いている葉加瀬太郎はブラームスに取り組んでいるとのことです。私がブラームスを再び聴くようになったのは、これは年のせいでしょう。演奏はアマデウスSQで、録音は60年代後半ですから半世紀近くも前のものですが明るくつややかな音色とゆるやかな音楽づくりが心をおだやかにして聴けるものとしています。若々しいブラームスです。
朝日新聞土曜版「be on Saturday」の日野原重明「98歳・私の証 あるがまま行く」でカナダの子どものためのホスピス Canuck Place が紹介されていました。「カナックの家は4階建ての豪邸で、100年以上前に建てられたときの外観のまま歴史的建築物として保存されています。1エーカー(約1200坪)の敷地の庭には、大きなヒイラギや杉の木、美しい草花に彩られ、おとぎの国に出てきそうな小さな家やブランコなど、子どもの喜びそうな遊具が置かれています。がんを患う子どもたちがここで最期の時間を過ごし、庭の好きな子どもが母親に抱かれたまま、芝生の上で亡くなるケースもあったとのことです。病室には9人の子どもが入所でき、どの部屋にも出窓があって明るく、壁には美しい色の壁紙が張られていました。4、5人の家族が一緒に寝られる家族室もありました。ギターやピアノが置かれた音楽療法室や美術室もあります。「Volcano(火山)」という名のついた部屋は、イライラした子どもや心の平静を失った家族が大きな声で叫んだり、物を投げつけたりしても大丈夫なように、防音装置が施され、壁もこわれないようになっています。小児科医3人と家族医1人のほか、24人の看護師や助手が勤務し、宗教家やカウンセラー、ソーシャルワーカーもいます。300人のボランティアが交代で運営を支えています。」全文を引用したいくらいの充実ぶりです。運営は寄付でまかなわれて入院費はとらないとのこと。日本と大きくちがいますね。ほんとに大きくちがう。気持ちはちがうことはないはず。でも、社会のあり様はちがう。子どものホスピスだけでなく、一人一人を大切にする仕組みをどうつくっていけばいいのか、考えている人は多いと思います。ほんとにどうしていけばいいのか。

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