アート

梅雨が明けて晴れの日が続くようになったら空は秋の色になっていました。澄んだ高い空、重い穂を垂れた稲、残暑は厳しいながらも秋はそこまで来ているのでしょう。
“夏休み”はテレビも特集とアンコールがたくさんあって新聞の番組欄をつぶさに見てはHDDに録画しています。昨夜は「関口知宏のファースト・ジャパニーズ」の「精巧華麗!女性切り絵作家の世界」そう、蒼山日菜さんの特集の再放送でした。この番組の中の言葉で私が最も頼もしく思ったのはスイス、レマン湖畔のブベイの画廊“GALERIE ZABBENI”の経営者アンドレ・ザベーニ氏の言葉です。「これは美しい。これを生みだすには多くの才能と愛情が必要です。忍耐も。芸術は人生や社会を映す鏡です。あなたの作品からは“人生は何かを成さなければならない”という強いメッセージを感じます。ここには揺るぎない価値がある。あなたの作品を通して人間は“創造できる”と知るのです。」「来ていただいてとても光栄です。」 作品について語る蒼山さんの言葉もただならぬ決心をうかがわせています。「花びらは少し日本的ですがアールデコーやアールヌーボー様式も取り入れています。なぜならわたしは日本人ですがここに暮らしてもう日本に帰ることはありません。ですからわたしの人生を象徴する一面もあります。少し日本的ですがヨーロッパ的な核があります。」芸術の文脈と価値を知る者しか語り得ないやりとりがあるように思います。そして、この番組の最高の黒子はカメラマンです。ただただ美しいとしかいいようのない絵作りはきっと絵コンテを描いてのカメラワークだからこそなのでしょう。美術品のような画面が続きます。ナレーションも私の好きな語りのアナウンサーでヴィヴィッドな空間を感じさせます。この組み合わせを考えたプロデューサーはどんな人なのだろうとちょっと興味もあります。
夜は某寺のお盆の法要で写真を撮りました。山門から本堂と庫裏に続く石畳の両側に並べられたろうそくの灯籠が優しく光ってそれはきれいでした。薄暮から夜を迎えるまで刻一刻と表情を変える様は幻想的でした。(Canon EOS kiss DX+Tamron A16、ASA800、SL-JPG、AWB、Picture Style : Standard、P-mode、上F2.8 1/6、下F2.8 1/5。露出補正はAF&AE Lockで意図的にしてあります。手振れ補正のない機材で一部三脚を使いましたがこの2枚は手持ちです。レタッチは角度調整とリサイズのみ。難しい場面はやはり一眼レフと思いました。(ブラウザとモニタによりますが画像のクリックで大きい画像が表示されます)
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アート」への2件のフィードバック

  1. しんちゃん

    夜景の基本を押さえた、写真をよく知っている方だと思います。
    夜景のシャッターチャンスは、薄暮の光がどれくらい残っていて、光源(この場合だと蠟燭の光の量)とのバランスがどうかです。
     今はデジタルでモニター見ながら調整が出来ますが、フィルムの時代は事前にテスト露光して、フィルムの感度やラチチュードに合わせて。露光時間を決めてその上、レンズにフィルターかませてと言った作業を経験から割り出したデータ(勘に近いと言った方が適切です)などなど、我々プロの領域でした。しかし、デジタルカメラはこんな作業や勘をやすやすと乗り越えたようにも思えますが、表現されたもののクオリティーは?仕事でデジタル、自分のとりたいものは、フィルム(圧倒的な手間、とコスト)写真もコンビ二的になりました。仕事では早く安くてもプロはさらなるクオリティーを求められて(不当な要求も多い)。嫌な時代です。

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  2. 南の風

    しんちゃんさんへ
    プロの方からコメントをいただいて恐縮しています。ありがとうございます。
    私は写真が好きな父から手ほどきを受けて小学生の頃から写真を撮っています。40年も前のことで、その頃は露出計もなく距離計もないコニレットを使っていました。カラーフィルムが一般的になった頃は夕焼けが思うように撮れなくて失敗ばかりしていました。しんちゃんさんのおっしゃるように経験が大事なことはわかっていてもフィルムと現像にそうそうお金をかけられる状況ではありませんでした。それだけにデジタルはありがたいのですが、かといって写真がうまくなったのかというと「作品」と呼べるものはそうそう撮れるものではありませんね。
    今回の写真は久しぶりにエネルギーを注いで撮りました。以前はレタッチをしていたのですが今はフィルム写真のようにシャッターを切るときに全てを決めたいので角度の調整が必要だった点が悔しい限りです。一応水平器は用意したのですが刻々と変わる光に撮影ポイントと三脚の調整が間に合わずに手持ちとなりました。
    私はプロでなければ撮れない写真はいつになってもあると考えています。プロが撮った写真の価値がわかる人が増えることを願ってやみません。

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