忘れられないセッション

■8月1日朝、一昨年担任させていただいた男の子が亡くなりました。小学部3年生、9歳でした。朝、目覚めませんでした。最重度のお子さんで私は医療的ケア1年目でした。お母さんからたくさんのことを教えていただきながらほんとにたくさんのことを学びました。呼吸がしんどいときなど、よくふたりだけで教室にいました。そんな静かでおだやかな時間がなつかしく思い出されます。そう、寝顔がとても穏やかできれいでした。なのに目覚めない…棺が閉じられるまで手を合わせることができませんでした。2日通夜、3日告別式で、日曜日のポコちゃんと重なってしまいました。お母さんと話をして予定通り行うことにしました。その方が彼も喜んでくれると…
■8月の日曜日のポコちゃんは14家族のみなさんに来ていただきました。とてもいい空間をいっしょに作り上げることができたものと感謝しています。最後に大きなシャボン玉をみんなでじっと見つめることができました。いつになく充実した密度の高いひとときでした。忘れられないセッションとなりました。
■子どもたちもいつになく集中してくれて…いちばん癒されたのは私自身かも知れないと思いました。たくさんのみなさんにたくさんの感謝をしています。音楽療法のセッションの文脈はセラピストだけが作るのではありません。その場のみんなで作り上げるものです。お互いのリアクションが新しいシチュエーションを作っていきます。その積み重ねが子どもたちの発達を力強く支えるものと信じています。
■夜、新聞の番組欄を見るとケビン・コスナーの『13デイズ』がありました。ケビン・コスナーは大統領補佐官役です。ケビン・コスナーの映画はどれも意思決定がキーワードになっているように思います。彼の映画をみる度に意思決定のシミュレーションをしているかのような感覚になります。そして、核心を見通すセンスと、判断し実行するパッション、そして、フェアということの大切さを実感します。決断のとき、自分を信じることができるかどうかです。そのためには日々一刻一刻自分を磨かねばなりません。たくさんの迷いが人を強くする。何か大事なのか、いつも考えていなければならない。その積み重ねが大きな決断を成し遂げる。でも、大きな決断の是非はすぐには出ません。今日のポコちゃんもそうです。

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