日別アーカイブ: 2001-12-28

“ふちなし”に心乱れる年の暮れ

■やっと年賀状を作ってプリントを始めました。“ふちなしプリント”にしたくて、今のプリンタを下取りに出して新しいプリンタを買おうかどうしようかとずっと迷っていました。“ふちなし”だと年賀状のデザインもちがってきます。それで今頃になってしまいました。“ふちなし”はキャノンも参入してエプソンの独壇場ではなくなりました。消費者にとっては選択肢が増えたわけで大歓迎です。クオリティ競争も価格競争も期待しています。こうして迷っていていもやっぱり楽しい。でも、ほんとにエプソンとキャノンのどちらがいいのだろう。
■今使っている2台のカラープリンタ、エプソンのPM2000CとPM670Cは“ふちなしプリント”も長年月保存もできませんが、画質はこれといって不満はありません。インクも安い! 画質に不満があるプリントは元データのクオリティに問題があるからその程度のプリントしかできない場合がほとんどです。店頭のプリントサンプルはプロのフォトグラファーがそれなりの機材を使ってそれなりの条件下で撮影したものが元データとなっています。プリントの粒状感は参考になりますが、サンプルのあの見た目の「わっ、きれい!」感はアマチュアではほとんど出せないですね。だから今のプリンタでいいや、と思ってしまうのです。
■でも、“ふちなし”の魅力はまた別です。銀塩写真のプリントから白い枠がなくなったときはどこを持てばいいのだろうとはたと困ってしまったことを覚えています。今では白い枠も写真の一部で意図的に使うものだと思っています。モノクロのネガの黒枠もそうです。“ふちなし”は写真に広がりがあっていいものだと思っています。ほしい!
■いろいろ調べていくうちに単純な疑問が湧いてきました。デジカメで撮っても銀塩で撮っても、元データの縦横比は必ずしもプリントペーパーのそれと一致するわけではありませんからどこかがカットされてしまいます。そのへんの処理はどうなるのだろうという疑問です。データのクオリティを上げるには撮影時から余分なところは写し込まないことが大事で、もちろん“作品”として撮影時の構図は大事にして仕上げまでもっていきたい。一眼レフのファインダー視野率100%にこだわる理由はそこにあります。
■元データと“ふちなしプリント”の関係について、『デジタルカメラマガジン』1月号では次のように書いてあります。「余白付きはPMシリーズ、四辺フチなしはBJシリーズが印刷しやすい」という見出しで、「余白を付ける場合、画像が用紙の中央にあるほうが見た目は美しい。ところが、PMシリーズは「用紙設定」画面の「印刷可能領域」の「センタリング」をオンにするだけでこれが可能だが、BJシリーズにこの機能はない。Photoshopの「プリントプレビュー」画面の「画像を中央に」をオンにしても1㎜程度のズレが出てしまう。」 また、「PMシリーズでの四辺フチなし印刷は、用紙サイズとプリントサイズを合わせても、はみ出し量が多めであるため画像内の必要な部分が切れてしまうことがある。これに対し、BJシリーズでは「はみ出し量」を設定できるので、これを小さくしてできる画像が切れないようにすることが可能だ。ただし、はみ出し量を最小にした場合、用紙の左右に1㎜程度の余白ができることがある」というのだ。つまり、PMシリーズの“ふちなしプリント”は“やってみなけりゃわからない”し、BJシリーズでは“確実にできるとは限らない”のです。
■そんなこんなで“ふちなしプリント”は見送って、余白のコントロールをソフトの操作とコンテンツのデザインで工夫して「わっ、きれい!」感を出そうとしました。
■ソフトはこれまでフジフィルムの『かんたん!』を使ってきましたが、余白がどうしても広くなってしまうので今回は他のソフトを試してみることにしました。ふだん仕事で使っている『ワード』の「ページ設定」でやたら細かい数字が並んでいること思い出して、余白のコントロールもかなりのところまでできるのではないかと試してみました。プリントの「上」「右」「左」を3㎜に、「下」を14㎜にすると、ほどよい余白と最大サイズのコンテンツのスペースがとれることがわかってきました。でも、「下」の14㎜はどう見ても「余白」です。かといってプリンタドライバで「センタリング」をオンにすると「下」はやっぱり14㎜を残してコンテンツが切れてしまいます。その余白をどうしようかとずっと考えていて、そこに新たにデザイン文字などをプリントして埋めることを思いつきました。もちろん、2回目のプリントでは上下を逆にします。1回目でできた「下」の余白が2回目のプリントでは「上」にくるようにセットするわけです。これはうまくいきました。葉書を横長で使って、右横の縦余白にデザイン文字を入れました。
■『ワード』は年賀状などカード作成専用ソフトと比べても遜色のない処理ができることがわかりました。むしろ『ワード』の方が柔軟にこなしてくれるように感じています。
■今回の年賀状は郵政省のインクジェッタプリンタ用年賀葉書を使いましたが、階調や黒のしまりに不満がありました。テストプリントはフジフィルムの光沢葉書でしました。こちらはさすがにきれいです。色のヌケ、細かな粒状感、豊かな階調、黒のしまり…CPを考えるといい選択だと思っています。
■それにしても“ふちなしプリント”はもうちょっとユーザーの意図がきちんと反映できるようにならないものでしょうか。それともこんなうるさいユーザーは他の方法を考えるべきなのでしょうか