「愛と同じくらい孤独」

フランソワーズ・サガンの「空想の」インタビューの本です。文庫本は持っていましたが、先週、古書店で単行本を見つけて買い求めました。私はサガンの愛読者でもなくこの本を隅から隅まで読み込んだわけでもありませんがこの本の一節には前々から惹かれます。

「毎週金曜日の朝七時のミサに行く途中で夜遊びの人たち、ベリ街とポンチュ街の飲みさわぐ人たちに出会うわけです。皆ごみ箱の上に半分のっかっていて、シャンペンの壜を抱えてタキシードを着ていて、スコット・フィッツジェラルド風で、わたしは 《ああ、この人たちは皆わたしよりも楽しい思いをしているわ!》 と思ったものです。彼らは大声で笑っていて、翌日の計画、競馬などについて話しているのに、わたしはこれから四時間の宗教の授業に出るところでしたから! 《不公平だわ》 と思っていました。」(朝吹由紀子訳)

中学校から帰る渡し船で工場の仕事から帰る人たちとよく乗り合わせました。彼らは自転車とともに乗り込むと船の縁に腰掛けて煙草をゆっくりくゆらせながら遠くを眺めていました。一日の疲れを癒やしているようでした。私はというとぎこちない年頃でいくつかの違和感を抱えながらその光景をどこかうらやましく思いながら見ていました。小さな子どものように真っ直ぐ見ていました。

今日の夕暮れは横に細長く濃い金色に輝き、反対側の空には白く丸い月が浮かんでいました。輝きを増す月に向かってステップワゴンを走らせました。とてもきれいな月でした。

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