日別アーカイブ: 2013-06-15

「耳をすませば」幾度か

スポーツ用品店に寄ってトレッキングシューズを見ていたら富士山登山のための装備を一揃い調達している女性客がいました。店員とのやりとりを聞いていると全くの初心者のようでした。一体どうやって登るのだろうと気にはなりましたが登山ブームを身近に感じました。私はというと山に登ろうという気はさらさらなくてトレッキング用品が身体にすこぶるマッチするので普段用にと見ていました。平日の足の疲れや肩のこりも週末のわずかな時間でもトレッキングシューズやバックパックを身に着けるだけでぐっと楽になります。不思議なものです。今日のように大雨注意報が出ていても足先が濡れることなくその高機能ぶりに助けられます。ところで、私のお目当てはバーゲンのMERRELLのCHAMELEON Ⅱでした。このシューズは雨で滑ること多々ありとのレビューがそこかしこにありますが63%オフはちょっといい。「濡れた路面ではシューズが滑ることがありますので十分にご注意下さい」とあるのは滑ることを認めているわけですがそれでも人気がある。GORE-TEXなのに雨の日は避けてそのデザイン性で履くというのも有りでしょう。

先週のテレビ東京の「出没!アド街ック天国」で聖蹟桜ヶ丘を特集していてこれがなかなかの観ものでした。聖蹟桜ヶ丘は映画「耳をすませば」のモデルになったとされる街で私は5年前の夏に訪れました。このときは時間があまりなくて京王線聖蹟桜ヶ丘駅からいろは坂、ロータリーまで歩いただけだったのでいつか時間をかけて自転車で巡りたいと思いました。テレビ番組では映画のモデルに加えて聖蹟桜ヶ丘のリソースなどをうまく組み合わせていてひとつの街の文脈を描いているように思いました。それは映画「耳をすませば」が描きだすメッセージともリンクしているといっていいでしょう。この街の歴史は右肩上がりの頃の日本の象徴であり続けることがアイデンティティとなっているように思います。

「耳をすませば」をあらためて観ると、それは思春期の子どもの成長の物語そのもので、雫と聖司の真っ直ぐで強く進んで行く成長の歩みがたまらなく魅力的です。雫や聖司のようにおとなになることに一生懸命になる姿はかつて当たり前でした。ここしばらくはそうした「生きる力」が見えにくくなっていることも確かですが、おとなになることが魅力的とされるためにはおとな自身がそのお手本になるように努めることが大事だと思います。

そして、やっぱり音楽がいい。ほんとにいい。音楽は野見祐二。映画「ラストエンペラー」のオーケストレーションを担当しています。ジブリの「猫の恩返し」の音楽も。「猫の恩返し」の封切り後に新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートに行ったらファゴットの音が映画そのままで思わず笑ってしまいそうになりました。野見祐二の音楽は演奏家が持てる表現力を最高に発揮しようという気にさせる音楽性があるように思います。緻密に織り込まれた脚本と映像、音楽、それらが最高のパフォーマンスで記録された映画が「耳をすませば」であるように思うのです。