「三重大学レーモンドホールと木造モダニズムの系譜」

ひとしきりの激しい雨が上がって三重大学の「札幌聖ミカエル教会とアントニン・レーモンド展〜三重大学レーモンドホールと木造モダニズムの系譜〜」に行きました。お目あては三重大学レーモンドホールです。レーモンドは帝国ホテル旧館を設計したフランク・ロイド・ライトとともに来日したチェコの建築家です。朝刊で一般公開と知って慌てて訪れた次第です。三重大学のレーモンドホールは前身の県立大学図書館として建てられた物で、移築して水産学部の食堂として使われてきた経緯があります。この建築物はガラスの開口部が広く、繊細に組み合わされた木材が美しい。
展示は他の代表作も写真と解説があって、2000年の夏に訪れた軽井沢のペイネ美術館もありました。その時は誰の建築かということは関心がなかったのですが印象に残る建築でした。ペイネの作品以上に建物を見て回った記憶があります。
レーモンドの建築はシンプルなのに大胆、大胆なほどにシンプルというべきでしょうか。伝統とモダンが高いところで調和して美しい。伊勢神宮も彼の作風に影響したとのことですが、私には別物の印象です。異なる文化の構成感がある。人間の居場所がきちんとある。軽井沢のちょっと古い別荘群と相通じる美学があるように思います。事実、レーモンドは軽井沢にいくつかの作品を残しています。著作権が切れた文学作品がi文庫などで読めるようになって立原道造や堀辰雄の高原を舞台にした作品に再び触れていただけに、このタイミングに今日のレーモンド展かとその絶妙な巡り合わせに驚きすら感じます。折しも「政府、低層庁舎や学校は木造に」というニュースが今週あっただけに私の関心も高まっていました。レーモンドは日本の小学校もいくつか手がけていることを今日知りました。
今日は寒い一日でした。朝、オデッセイの車外温度計は26度でしたが雨上がりの午後は22度でした。三重大学レーモンドホールの前の彼岸花のつぼみが赤い花びらをのぞかせていました。残暑が長引いたこともあって今年の彼岸花の開花は遅いそうです
レーモンド設計事務所

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