日別アーカイブ: 2006-06-18

Y.M.O.

■今日は前任校の地域支援でミュージック・ケアの実践をしました。赤ちゃんから大人まで、にぎやかな集まりで、私も説明だけでなくおしゃべりも入れて、終わってみれば1時間45分が過ぎていました。会全体としてはちょうどよかったようですが、私はセッション最長記録を30分も更新してしまいました。そこに集う子どもも大人も、何か、確かなものの上にいるように思いました。話が飛躍しますが、今は地方の時代、地域の時代です。行政区分がどうなっても地域社会の主体性の在り方ひとつで地域の人たちの幸せが大きく左右されます。小さな町の“親の会”の健闘と町の支援を祈らずにはいられないのです。
■会場に行く前、前任校近くの交差点で、養護学校の先生の和太鼓グループの車と出会いました。やはり、地域支援で和太鼓を叩きに行くとか。そのグループの名前は「ペコ」です。私の「ポコちゃん」に対抗して「ペコちゃん」とのネーミングです。異動で勤務先がばらばらになっても一声で集うメンバーの心意気に心から拍手を贈りたい。
■先週末は深夜2時に帰宅。さすがにすぐに眠ってしまいましたが、翌?土曜日の朝は早く起きても眠気も疲れも感じない。これはあぶないかな…と思いつつも、けっこうしっかりしていたので実家の畑の草刈りで汗を流しました。草刈機の刃を換えてまだいくらも使っていないので仕事が早い。草刈りが終わると妙に空腹感が…そうか! 朝、食べずに家を出て来たのでした。この草刈機を使う度に買ったときのことを思い出します。数字ではわずかな排気量の差がどの程度のものか、おじさん然とした店員さんにたずねたところ、「車で言うと、これがカローラならこれはクラウン、それくらいちがう」とのこと。なんとわかりやすい説明! 腑に落ちる説明にお礼を言って、私が買ったのはカローラでもクラウンでもない、コロナでした。(コロナはもうないけど、そのおじさんならきっとコロナと言うにちがいありません)でも、やはりパワーはもっとほしい。クラウンでもアスリートくらいのパワーと足回りがほしい。草刈りも極めるにはパワーがいる。
■昨日の午後はレンタル店に寄ってCDを5枚レンタルしてきました。このところ音楽熱が再発して脈略のはっきりしないセレクトです。Y.M.O.「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」、坂本龍一「星になった少年」、映画「アメリ」サウンドトラック、松田聖子「Seiko Smile」、モーツァルト「2台と四手のためのピアノ作品集」(Pf:アルゲリッチ&ラビノヴィチ)です。こんなセレクトをするときは頭が疲れているときですが、不思議に澄みわたる感覚もあります。ずっと前のことが鮮明に頭をよぎる。
■大学生の頃、姉からピンク・レディーを知っているかと疑われたくらいクラシックばかり聴いていました。Y.M.O.は興味の範囲外でした。ところが、ある日、Y.M.O.のコンサートの会場警備のアルバイトに来ないかと友人に誘われて京都会館に行きました。大型トラック満載の膨大な機材を休みなく運び込み、つながれたコードが床に黒い渦を作って行きました。私はどういうわけか楽屋口の番をすることになりました。「入ろうとするヤツが来るから絶対に入れるな」とのこと。確かに、来る来る。来る人来る人みな変わっている。髪をピンクに染めて紺色の人民服を着た高校生と思しき男の顔は今も思い出すことができます。今ならなんとも思わないのですが、その頃の私はさながら油屋に迷い込んだ千尋でした。人は見かけで判断してはならないといいますが、そのときは私の価値観を試されているような気がしました。そのうち、楽屋の方から関係者らしき人が来て、たばこを買って来てほしいと話しかけられました。彼は外国人で顔もはっきり思い出すことができます。「ここから離れてはいけないと言われている」と言っても「だいじょうぶ、ボク、みてる」と言う。仕方なく走って、名曲喫茶「シンフォニー」近くの自動販売機でたばこを買って来ました。このときはこれで済みました。またしばらくすると、関係者らしき人が奥から来て、「ボクの姉が来るから入れてあげてね、○○というの」と言いました。「はい」と返事すると彼は奥に行きかけたものの数メートルのところで突然振り返って私のところに急いで来てこう言いました。「ボク、高橋です」「はい、高橋さんですね」「・・・」このやりとりは今思うと穴でもあったら入りたいくらいです。コンサートが始まってしばらくすると私を“油屋”に誘った友人が来て、「せっかくだからお前も中に入れ」と楽屋口番を代わってくれました。気が進まなかったのですが、客席の“警備”に入ると、そこは私の音楽観を書き換えてしまう音楽の渦中でした。すごかった。体中の血が逆流するような音楽に溢れていました。今思えば、私の身体が納得する音楽でした。こんな音楽もあるんだと思いました。Y.M.O.は文字通り、私の音楽観を書き換えてしまいました。今聴くと、古色蒼然の感があります。四半世紀前の音楽です。それも仕方ないでしょう。でも、Y.M.O.は私の中で揺るぎないポジションを占めています。
■今日の夜は団地の自治会の会合もあって慌ただしいながらも実り多い2日でした。私自身のキャリアについても考えることがありました。私はやはり音楽が好きです。音楽抜きのキャリアはあり得ないのではないかと・・・