須川展也のアルトサックス

■昨日、ヤマト運輸とCBC放送が主催する『おしゃべり好きなコンサート』に行ってきました。指揮:三石精一、司会:宮崎美子、サクソフォーン:須川展也、演奏:名古屋フィルハーモニー交響楽団という豪華な顔ぶれです。私のおめあては須川展也のサックスです。 須川展也のアルトサックスは私のサックスという楽器の概念を一から書き直してしまうくらいでした。CDではわからない生の音、そして音楽でした。サックスの考案者アドルフ・サックスも自分が作った楽器が100年後にこんな音を出すなんて想像もしなかったのでは?と思うほど。
■彼はヤマハのサックスを使っています。ヤマハのサックスの音は個性がないといわれています。ですからプレーヤーの実力が真正面に出ます。須川展也の演奏はカルチャーショックですらありました。音がきれいとか豊かとか、そんな形容が陳腐に思えるほどのものでした。彼の表現方法というか“アーテキュレーション”はダイナミックかつ繊細であまりに洗練されていて魅了されてしまいました。耳を澄まさないときこえないくらいのピアニッシモからフォルティッシモまで音が全然くずれない。そうですね、まろやかな音という形容がいいかな。スペインの情熱的な『グラナダ』とディズニー映画の『星に願いを』の2曲をききました。
■須川展也の音は、どこかシンセサイザーの音に似ているところがあると思いました。絶対に破綻をきたさない印象です。生の楽器の音がいちばんいいのはわかっていても、シンセサイザーの音も不思議な魅力があります。癒し系の音楽もシンセサイザーの演奏が多いですね。もちろんシンセサイザーの音楽作りも楽器の演奏と同じセンスで生きた音楽となります。
■司会の宮崎美子もまたテレビや雑誌ではわからない魅力を感じました。きれいで語りもすてきで知的な印象がよかった。もう40歳くらいだけどほんと上手に歳を重ねています。音楽物語『魔法使いの弟子』もすてきな語りでした。
■アンコールは『ラデツキー行進曲』で、会場のみんなが手をたたいて盛り上がりました。クラシックで手拍子で楽しめる曲はこれだけです。ウィーンの“ニューイヤーコンサート”みたい。指揮者は客席に向かって手拍子の大きさをリードしてくれます。だけど、クラシックの指揮は半拍早いのでちょっとおもしろいタイムラグがありました。
■会場もプログラムもネコだらけでおもしろかったです。ネコオーケストラのイラストはなんだかなごみます。 オーケストラのコンサートはほんとに久しぶりでした。CDなど録音では絶対わからない音でした。

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