日別アーカイブ: 2023-08-22

第九を歌うということ

先週、大阪に滞在中に勤務先近くの文化施設から主催する第九合唱団に「参加可」の連絡がメールで届きました。ふと思い立って応募したもので応募者多数のときは抽選とのことでしたが男声は足りないので経験者に呼びかけてほしいともありました。それを読んでいっしょに歌いたかった知人を思い浮かべました。

彼は私と同年齢で高校も大学も違いましたが音楽を通して事あるたびに顔を合わせて交流があり、同じ仕事に就いたこともあって研修などでいっしょになることもありました。また、市内に住んでいたので近くのスーパーで何度か偶然出会っては立ち話をしてきました。いつも笑顔で飄々として「またな」と言って別れたものです。

彼は早期退職をして小学校で音楽などの非常勤講師をしていました。彼は子どもの頃から音楽、とりわけ歌に親しみ、高校は違いましたが合唱部同士のライバルで大学は音楽大学に進みました。小学校の教員になったのも私と同じタイミングで彼も私も一時は音楽専科でした。音楽の話題が豊富な彼のブログやフェイスブック、ツィッターはよく読んで彼の博識から多くを学びました。そう、今となってはすべてが過去のものとなってしまいました。自分の病気のこと、検査や手術のことを書き込むようになり、自分のレントゲン写真までアップすることもありました。そのうちに病状が厳しくなってきたことが伝えられるようになり、昨年、闘病の末に亡くなりました。

「去る者は日日に疎し」という諺がありますが彼は違います。今回も彼といっしょに第九を歌いたかったと、そして、彼といっしょに歌っていると思って歌いたいと思います。彼のように飄々と歌いたいと思います。多くのエピソードは書けませんがその一つひとつは鮮明に記憶に残り続けます。