本2冊

今日明日と研修で京都に来ています。病気の子どものストレスがテーマです。一昨日と昨日は病弱教育の研究会で大分に行っていました。この4日間の移動距離は2,000km近くにもなって移動中は貴重な読書時間となりました。おかげでスティーブン・シルバーマン著「自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実」(正高信男・入口真夕子訳 講談社ブルーバックス 2017)を読了しました。600ページ超のカタカナ名がたくさん登場して翻訳然とした文体なので速読みというわけにはいかず、先々週末までに半分近くまで読んだところで中断していました。ペーパー版は厚さが3cmほどもあるのでスマホでも読める電子書籍も購入して読みました。都合2冊購入したわけで、この本はそれほど私を虜にしました。

シルバーマン著「自閉症の世界」を読み進めるなかで、どうして今までこのような本がなかったのか、あるいは私が知らなかっただけなのか、訝しくかつ不思議でした。自閉症にかかわる誰もが知っていておかしくない自閉症にまつわるヒストリーです。知っているべきことといえるでしょう。今あるものには必ず訳がある、経緯があると常々自分に言い聞かせてきたはずなのに、また、DSMⅣからDSM5へのバージョンアップに際して診断基準が大きく変わったことを承知しているはずなのに、どうして自分で自閉症のヒストリーを吟味することをしようとしなかったのかと反省すること頻りです。内容はあまりに多いのでここで触れることはしませんが、幸いこの本は順調に販売冊数を伸ばしているようで嬉しく思っています。自閉症、ASDを巡る環境だけでなく、社会全体の在り様も少しずつよくなってほしいと願っています。

鯨岡峻著「ひとがひとをわかるということ 間主観性と相互主体性」(ミネルヴァ書房 2006)も鞄に入れました。私の本は2010年の第4刷で、決して読みやすくはない心理学の専門書が毎年増刷されてきたことに驚きます。大学で教科書として使われているのでしょうか。私が初めて鯨岡先生の関係発達の考え方に触れたのは2003年の千葉淑徳大学の発達臨床研修セミナーでの講演「子どもの関係性の発達」でした。当時私は肢体不自由の養護学校(当時)で医療的ケアの重度重複障害の子どもたちといっしょに過ごしていて、その中で自分が感じていたことに照らし合わせて腑に落ちる言葉たちでした。重症心身障害の子どもの教育の依りどころとなる考え方と言葉を示していただいたと思いました。教育とマネジメントを支えてくれました。そして、今、あらためて依りどころにしたいと思っています

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