音楽療法とサックス

■サックスのクリスマス曲を聴いていたらポール・ウィンターのソプラノ・サックスを聴きたくなりました。今放送中のトヨタ自動車のテレビCMに鯨とソプラノ・サックスとの“デュオ”のシーンがあります。この組み合わせは忘れた頃にフィーチャーされます。私が覚えているところではおよそ20年前の保険会社のCM、そして90年の日産自動車のCMです。どちらもソプラノ・サックスはポール・ウィンターです。ポール・ウィンターの音楽には鯨とイルカの声が演奏の中に収録されています。
■折しも月曜日に勤務校の秋の社会見学で二見シーパラダイスに行ってイルカと遊ぶことができました。写真の手は私の手です。イルカが人間と遊ぶスタンスは自閉症スペクトラム障害の人たちへのサポートの理想のスタンスかも知れません。つかず離れずの距離をおいて、寄り添って…いつも、どう?…と尋ねてくれて、でも、がんばって答えてくれなくていいよ、ぼくが必要ならその分いっしょにいるよ!とメッセージを伝えてくれているようでした。自閉症のお子さんのセラピーにイルカとのセッションが行われている理由がよくわかります。
■奈良市音楽療法研究会編集『奈良市 音楽療法士への道』(法政出版 1997)にこんな記述があります。「フランスのある音楽療法では、『新生児に音楽を用いるとき、弛緩を喚起するものからはじまり、次第にテンポをゆるやかにする。それは4曲の子守歌からなり、その1つに《鯨の声》が使用されている』(ジャック・ジョスト 永田丕訳『フランス音楽療法』 リブロポート 1994)という。A君のようにゆっくりと成長発達する子どもには、胎教音楽のようなものから提供していけばよいと考えた。なぜなら、鯨の声が入っているCDを流したときのA君の反応は、安心し、リラックスした状態の時にみられた微笑だったからである。」 たいへん示唆に富むセンテンスです。
■この本にはサックスを使ってセラピーをする音楽療法士のレポートがあります。大阪芸術大学の野田燎先生も音楽運動療法でサックスを使っています。媒体は何でもいいけどサックスは魅力的です。

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